今月『佼成』のご法話のテーマは「健康は最高の利得」です。
健康で長生きすることは誰もが願うことです。皆さんの中には健康で長生きするために様々な健康食品や健康器具を利用している方もいるでしょう。それらはとても高額で、家を建てるくらいの大金を投じた方もいるようです。健康で長生きすることが人生最大の目的となり、“健康のためなら命もいらない!(笑)”というくらい健康に執着している人もいます。
しかし、健康とは本来どういうものなのか?会長先生は「自分が生きていることによって世の中の悲しみが少しでもなくなり、世の中の幸せが少しでも多くなるようにと念じて生きることが、私たちにとっての健康状態」(14頁3行)である。
そして、「人を思いやるなかで実践する六波羅蜜の菩薩行は、私たちの日々の大切な精進であると同時に、自分本来の元気を活性化させて、人さまにも元気を与える「健康行」に違いありません。自分以外の人の幸せを念じると、私たちの「気」が溌剌とはたらくのです。」(14頁6行)と諭されています。
病気がないのが健康ということではないようです。病気をしていても健康な人がいます。反対に、病気はなくても不健康な人がいます。私たちは「人さまのため、人さまのため」と思って日々せっせと菩薩行に励んでいることで本当の元気と健康をいただいているのです。
全国の各教会では、日々「道場健幸行」が行われています。これは、単に道場をきれいにすることではなく、人を思いやるなかで実践する六波羅蜜の菩薩行を実践することなのです。そのことによって、自分本来の元気を活性化させて、人さまにも元気を与えることにつながっているのです。まさに「健康」と「幸せ」をもたらすものです。
現在、コロナ禍で道場に来られない方も多くいます。そのような方には「家庭健幸行」を勧めています。自宅で①ご供養(経典読誦)し、②家の中の清掃・整理整頓し、③どなたかに電話やメールで声をかける、④最後に主任さん等に報告する。このやり方を参考に、自分なりに工夫して実践してみてください。自粛生活が続くなかにあっても元気を活性化させて、家族にも元気を与えることにつながるはずです。
私たちの“いのちの本質”は広大な宇宙を生み出している大生命そのものです。信仰的に表現すれば、久遠本仏と同じいのちに生かされているのです。「人間を含む万物一切のおおもとは、いきいきとした「気」はたらきにあふれているという見方ができますから、私たちは本質的に「元気」な存在なのです。」(12頁終2行)と述べられている通り、いのちの本質は、本来「元気」そのものということです。この自覚がとても重要です。
筑波大学名誉教授であった村上和雄博士は、「人間のからだには60兆個の細胞がある。その一つひとつの中ある遺伝子は通常5%しか働いておらず、あとの95%はOFFで眠ったままになっている。その眠ったままの遺伝子を少しでもONにすると、信じられないくらいの元気が出てくる。遺伝子をONにするには、①どんなときも明るく前向きに考える②思い切って今までの環境を変える③人との出会いを大切にする④感動する⑤感謝する⑥世のため人のためを考えて生きる」と、教えられました。
先月の話です。肺がん末期と診断され、死を覚悟された方が、ひたすら「ありがとう」の言葉を唱え、感謝の一念を徹底したところ、医者が驚くほどがん細胞が消え、元気を回復したそうです。“病は気から”という言葉がありますが、心を健康にすることが身体を健康にすることにつながるのです。感謝と菩薩行、これが真の健康のもとなのです。
合 掌
2023年1月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則