今月の会長先生のご法話のテーマは健康と元気は「心」からで、今月も健康に関するご法話です。
私は昨年末より座骨神経痛に苦しんできましたが、徐々に痛みが軽減してきました。服薬とともに、背骨を支える筋肉を鍛えることが効果的であるように感じています。
筋肉と聞くと普通は「体の筋肉」を思い浮かべますが、「心の筋肉」もあり、感動や感激などの刺激によって活性化させることが、元気でいるために大切なようです。高齢になると感動・感激することが減ってくるといわれます。特にコロナ禍で退屈な日々をおくっているとそうなりがちです。たとえば大自然の神秘に触れる、素晴らしい芸術、映画、本に触れる、素敵な生き方をしている人に出会うことが「素直で豊かな心」を養い、それが感動・感激につながるのだと思います。私は時間をみつけて絵手紙を描いていますが、「素直で豊かな心」を養う一つの方法と思っています。
不健康や老化の原因は、肉体よりも精神にあるようです。特に雑事、俗務、つまらないことにとらわれていると、向上の喜びや感激を味わうことがなくなり、心から活気が失われるようです。スティーブ・ジョブズという世界的な実業家がいます。スマホを考えだしたすごい人です。その彼が「もし、今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは、本当に自分がやりたいことだろうか」という言葉を残していますが、今を大切に、真剣に生きることを述べているように思います。今本当に大事なことは何かを見きわめ、そのことに集中するよう心がけましょう。
先日、ある壮年さんとの出会いです。その方は病気で奥さんを亡くされ、寂しいがこみあげてきたのでしょう。「何とか仕事に復帰し、元気を取り戻してきました。・・・でも、寂しいです。元気な時は口喧嘩ばかりしていましたが、もっと優しい言葉をかけてやればよかった・・・」と、声を詰まらせながらお話しくださいました。今日が人生最後の日だとしたら、口喧嘩などしてはいなかったはずです。
後半は「健康の三原則」として、「心中常に喜神を含むこと」「心中絶えず感謝の念を含むこと」「常に陰徳を志すこと」の三つをあげておられます。
この中で、特に「心中常に喜神を含むこと」とは、心の奥底に喜びをもつこと、どんな出来事も仏の説法として、悦びをもって受け入れることと説かれています。これは、私がお話ししている「心に本仏を勧請する」と同じではないでしょうか。「どのような状態に置かれても、また、どのような人と触れ合っても、常に仏さまのはからと慈悲をしっかり感受できる信仰者になる」ことです。
そのことを“常に”“完璧に”できなくても悲観することはありません。たとえ一瞬でも、たとえわずかでも、そう感受できたら合格だと思います。
今月は本会創立85周年の意義ある月です。「法華経に示された人間の生き方を知ってもらい、本当の幸せを自分のものにして頂きたい」これが、創立に込められた開祖さまの願いです。「法華経に示された人間の生き方」とはどんな生き方なのか?「本当の幸せ」とは何か?そうした意味をしっかりかみしめ、布教伝道してまいりましょう。その精進が「体と心の筋肉」を鍛えることにつながっていると思います。
合 掌
2023年3月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則