【こころの彩時記9】「勝 縁」~善き縁が導いてくれた小さな奇跡~

 今年5月28日(日)、宮城県知事・村井嘉浩氏が仙台教会道場に参集した会員約600名を前に、「我が人生と宮城県の未来像を語る」と題してのご講演が行われた。
(その時の模様は、本ホームページ「明日を創る」で紹介させて頂いてます)

 その村井知事の話が佳境に入った。
「私が初めて県会議員に当選させて頂いた時に、『日本を美しくする会』の皆さんとの“ご縁”ができました。『日本を美しくする会』は、自動車用品のチェーン店を全国的に展開している(株)イエローハットの創業者、鍵山秀三郎さんを慕って作られた会で、いろいろな公共施設の特にトイレを素手でひたすら掃除することで、自らの心を磨こうという仲間が集まっています。鍵山さんの会社は創業時には(株)ローヤルという名前でしたが、自分が社員にしてやれることは、きれいなトイレを使ってもらうことぐらいしかできないと考えて、毎日、毎日、一人で会社のトイレ掃除をされました。私もその鍵山さんの精神と実践を少しでも真似していきたいと思います」

 その村井知事の話に一人昔を思い出し、涙を浮かべて聞き入っていたご婦人が参集した600人の中にいた。そのご婦人の名は今野洋子さん(宮城野支部所属)。今野さんは、鍵山秀三郎さんが(株)ローヤルの創業時に、鍵山さんのもとで働いていた。

 鍵山秀三郎さんは、

「私には人より抜きん出た能力は一つもない。商売の才覚もない。リーダーシップもあるとはいえない。そんな平凡な私がいままで事業を続けてこられたのは、トイレ掃除を通して“誰にでもできることを、誰にもできないくらい、徹底して続けてきた”という以外に理由は見当たらない」

(鍵山秀三郎「一日一話」、PHP研究所刊より)

と語り、自らの会社を全国に約500店舗、年商約900億円という日本を代表する優良企業へと成長させ、今でも経済界を中心にさまざまな分野の人が鍵山さんを慕い、その精神を学ぼうとしている。

 今野さんは村井知事の話に、来る日も、来る日もトイレ掃除をしている当時の鍵山社長さんの姿を思い浮かべ、なつかしさと有り難さが胸にあふれ、思い切って鍵山社長さんに手紙を書くことを決心した。
 今野さんには三人の娘さんがおり、現在では皆50歳を超えた。当時、その三姉妹を心から可愛がってくれた鍵山社長さんに、まずそのことを報告したかった。
 しかし、鍵山さんはすでに自分からは遠い、遠い存在。今野さんは駄目もとで鍵山さん宛の一通の手紙を投函した。10日間が過ぎたであろうか。今野さんの家のポストに一通の手紙が届いた。封書の裏側の差出人の名前を見て今野さんは驚いた。鍵山社長さんからのお手紙なのだ。感激に震える手で、急いで封を切ると次のような内容の文章が書かれてあった。

 懐かしい思い出が込められたお手紙をいただきまして、まことにありがとうございます。私は九年前にイエローハットを退任しておりましたので、お手紙が私の手元に回送してくるのに、日時がかかりご返事が遅くなりました。また沢山書きたいことがあるのですが、只今闘病中で字も思うように書けない状態となりました。
 三人の娘さんの幼い頃のことが今も目に浮かびます。
 
三姉妹が動きまわると、誰が誰だか分からなくなりました。今野さんのご主人さんが、今、風呂から出たばかりの娘さんの服を脱がしてしまったことなど、いつまでたっても忘れられないほほえましいエピソードが沢山あります。
 
あの時の幼くて、あどけないお子さん方が五十歳になられたとのこと、その分私も年を重ねて今年八月で八十四歳になります。
 
一昨年十月に脳梗塞を発症し、後遺症で不自由な身体となりました。このような次第ですので、ご諒承くださいませ。
 
皆様のお幸せをお祈りします。

鍵山秀三郎拝

(手紙文、一部省略)

 今野さんは、手紙を読み始めた時から涙が溢れて止まらなかった。私のような一介の社員のことまでも覚えていてくれ、四十年以上前の私の主人と娘たちとのエピソードを忘れずに、しかも不自由なお身体でお手紙を書いてくださったのだ。

DSCF0186

鍵山さんからのお手紙

 この手紙は今野さんにとって、思い出と思いがこもった大切な、大切な一生の宝ものとなったのは言うまでもない。

「勝縁」とは、常日頃から善い人、善い教え、善い書物など、善いもの、勝れているもの、尊いものに、できるだけ多く縁を結んでおくことが人生では大切だという意味である。

 村井知事さんのお話との「勝縁」がきっかけとなり、一通の手紙という縁が生まれ、大きく、大きく時空を超えて広がっていった。まさに、小さな、いや今野さんにとって大きな、大きな“奇跡”が訪れたのである。

今野洋子さん 決定写真

向かって右側が今野さん(宮城野支部長 佐藤欣子さんと共に)

 

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