「ダメ。ゼッタイ。」 〜薬物乱用の現状と啓発活動の大切さ 2~ 深澤 逞(大崎地区薬物乱用防止指導員協議会 会長)
- 2017/9/1
- 明日を創る
薬物乱用の根絶に向けての取り組みを長年にわたり続けていらっしゃる、深澤 逞先生(大崎地区薬物乱用防止指導員協議会会長、薬剤師、有限会社 健康堂薬局会長)から、薬物についての基礎的な知識と乱用の怖ろしさ、そして薬物乱用防止に向けての啓発活動についてお話を頂戴しました。今月はその第2回です。
◇薬物乱用の要因とは?
では、今なぜ薬物乱用がまた流行しているのか?その要因として、私は《社会背景の変化》にあると思っています。若年層を中心に私は以下の点を大きな社会背景の変化と受け止めています。
○薬物乱用の危険性に対する認識の欠如
・規制薬物への警戒感が低下し、薬物犯罪に対する規範意識の薄弱化。
・「他人に迷惑をかけていないので、使うかどうかは本人の自由である」といった誤った考え方の浸透。
・薬物の持つ依存性によって自分の意志でやめられなくなり、精神的、肉体的に大きな障害を受けるという事実。
・乱用の弊害が凶暴な犯罪や社会的な悲劇につながることが多い。
○薬物乱用への抵抗感の低下
・薬物に対する基礎的知識の欠如
・使用方法の簡便化(例:注射から吸引へ)
・薬物の俗称、パッケージ等の流行(名称や形態のファッション化)
○薬物の入手の容易化
・スマホ、インターネットの普及による、宅配便による入手
・情報伝達技術(IT革命)の著しい進歩(例:SNSによる情報入手)
・密売価格の低下
・一部の外国人による無差別な密売
こういった社会背景の変化から、現在、薬物乱用の流行が起きていると思われます。
◇薬物乱用の怖ろしさ
覚せい剤や麻薬といったものを、なぜ使ってしまうのでしょうか?私たち人間の心身はとても強い反面、また弱さも抱えています。特に青少年は素直ですから、次のような誘いについ手が出てしまいます。
*やせられるよ、肌がキレイになるよ
*クスリでちょっと遊ぼうよ、面白いクスリがあるよ
*イライラがとれてスッキリするよ
*眠気が取れて勉強ができるよ
*ちょっとだけ試してみない!
*みんなやってるよ、やってないのは君だけだよ
*お金はこの次でいいよ
・・・・・1回だけなら大丈夫だろう?
・・・・・意思が強いからハマッタリはしないさ!
そして、一度でも使用してしまうとやめられなくなり、ほぼ確実に薬物の常用、依存、乱用という反復使用の“地獄”に堕ちてしまうのです。
「ダメ。ゼッタイ。」
私たちの脳は20歳頃まで成長します。特に小学生、中学生、高校生の時期は心身共に急速に発達します。この時期に薬物の乱用をすると、脳や身体の成長が止まり、健康な社会人になることができなくなります。薬物乱用はたとえ1回でも「ダメ。ゼッタイ。」なのです。