“口は災いの元 口の四悪を止める!” 教会長 近藤雅則(平成30年7月)

『佼成』7月号の会長法話は、「和らぎをもたらす言葉」がテーマ。
今月は「八正道(はっしょうどう)」の中の「正語(しょうご)」について教えられています。「正語」は、その場を和らぐ言葉を語ること。そのためには、何をどう語るより、正直に生きる誠実さが大切であり、相手を慈しむ心が大切であることが教えられています。
 正語とは本来、妄語(もうご)・綺語(きご)・両舌(りょうぜつ)・悪口(あっく)という「口の四悪(しあく)」を止めること。妄語とは、嘘(うそ)をつくこと。綺語は意味のない飾り言葉や心にもないお世辞のような言葉。両舌は人の仲を引き裂く二枚舌。悪口は人の悪口を言うことです。
 八正道の教えは、仏教を生活の中でどう生かすかを示しています。実践することで生活や生き方が向上するとてもありがたい教えです。
 しかし、私たちは日常どのくらい意識して正しい言葉を語っているでしょうか?正しい言葉を口にするには、それなりの努力が必要です。一方、妄語・綺語・両舌・悪口を語るのは、何の努力も必要ありません。そして、誰でも簡単にできます。例えば、他人の悪口は、一晩中話し続けても尽きません。また、人の悪口を聞いているうちに、ついつい一緒になって悪口を言い合っている人も多いでしょう。

 口は災いの元という諺があります。言わなくてよいことを不用意に口に出したことで、取り返しのつかないことになってしまった経験をもつ方もいると思います。特にお酒が入ると、こうしたことが起こりがちですから要注意です。
 昨今、政治家や官僚をはじめ、とても優秀な人たちが平気で偽りを語り、不用意な言葉を連発しています。しかも、そこに何ら罪悪感や羞恥心もないように感じられます。こうしたニュースを毎日のように目にしていると、日本人みんなが平気で嘘をつく国民になってしまうのではないか・・・、本当に憂えるべきことだと思います。

 道元禅師のことばに「愛語よく廻天のちからあることを学すべきなり」という言葉があります。「愛語」とは、相手に温かい思いやりのある言葉をかけること。愛語は、人生を一変してしまうくらいの偉大な力をもっているというわけです。
 日ごろ、私たちの口から出る言葉は、人を愉快にし、希望を与え、幸せにする言葉でしょうか?あるいは、人を不機嫌にし、傷つけ、不幸にしてしまう言葉になってはいないでしょうか?
 仏教は、正しい言葉によって人を愉快にし、希望や勇気を与え、幸せにする生き方を学ぶものです。そうした人は、必ず多くの人から愛され、信頼され、よりよい人間関係を築き、本当の幸福を得るはずです。

合 掌

     平成30年7月1日

立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則

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