「東日本大震災慰霊式典」を行ないました。

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ご講話をされる小林克州元釜石教会長さま

 2011年(平成23年)3月11日(金)14時46分に発生した東日本大震災。今年は10年の節目を迎えます。その10年の節目を四日後に控えた3月7日(日)、私たち立正佼成会仙台教会では「東日本大震災慰霊式典」を行ない、震災で犠牲なられた方のご冥福を祈り、さらには一日も早い復興に向けての努力、精進を、会員一同、心新たにお誓いさせて頂きました。
 また当日は慰霊供養に続き、震災当時、本会釜石教会の教会長のお役にあった小林克州さまから、「東日本大震災をふりかえって」をテーマにご講話を頂きました。
 ご講話の要旨は以下の通りです。

【要 旨】
 東日本大震災の発生時に、岩手県の釜石教会の教会長のお役を頂いていた私は、この震災を通して「受持」ということの大切さを身をもって学ばせて頂きました。「受持」とはこの『法華経』の教えをしっかりと胸に刻み、たとえどんなことが起きても、その出来事、現象を自らの功德にしていくという仏さまへの信仰心、帰依心の確立ということでした。
 また、仏さまへの「信」をもって困難に打ち勝ち、また同時に本当の喜びはその困難を通してこそ頂けるとも教えて頂きました。
 震災発生後、私は仏さま、開祖さまを念じ、犠牲になられた会員さんお一人お一人のご安否の確認に、毎日、歩かせて頂きました。住む家を失い、ご家族の安否が分からない娘さんと出会った時、「あなたは、今、何がほしいですか?」とお聞きすると、「はい、私は今、“愛”がほしいです」と言われたことが、今も印象に残っています。
 このような尊いご縁もありました。ご自身のご主人さんと家を失った一人の支部長さんは、自らの苦しみの中で信者さんのために、明るく、また一心不乱にご奉仕をされていました。その支部長さんが私の前で突然泣き崩れ、しばらく泣き続けられました。私はただただその支部長さんの心に寄り添うことしかできませんでした。
 しかし、翌日、その支部長さんは、「泣くことは大事ですね」といって、また信者さんのための手助けを始められたのです。思いっきり泣くことも、人間、大切なんですね。
 その後も、私は毎日、行方不明となっている信者さんを、ご家族の方と共に、ひたすら探し歩きました。
 その中で、犠牲になられた方のご遺族の方の「有り難い」という言葉が、私の胸を打ちました。必死になって探してご家族のご遺体が見つかったとき、ご遺族の方はショックと悲しみにくれながらも、「見つかって、有り難い」と言われます。そして、火葬ができたとき、葬儀ができたとき、それぞれ「火葬ができて有り難い」、「葬儀ができて有り難い」と言われ、埋葬ができたときには「埋葬ができて有り難い」とおっしゃられるのです。
 一番苦しい中、辛い中で「有り難い」と言って、仏さまを拝み、祈る姿を目の当たりにした私は、「有り難い」という言葉の持つ深く尊い意味と、苦しみの中に“光”を見つけて歩む生き方の尊厳さを学ばせて頂きました。
 と同時に、被害を受けた信者さんがいらっしゃるからこそ、私自身がお一人お一人に寄り添い、お声をかけ、心を聴かせて頂くことができる。また共に涙し、抱え合うことができる。犠牲になられた方、被害を受けられた方が、実は私自身の「仏性」を磨き出してくださるかけがえのない“ご縁”をくださっているとも気づかせて頂きました。
 庭野日鑛会長は、
「感謝の気持ちが人間の究極の心です。どんな時でも、どんな境遇にあっても感謝の心をもって、そしてその中にあっても人さまに喜びを与えていける人間にならせて頂くことが、人間として生まれてきた最高の目的です」
と教えてくださっています。
 私もそのような人間にならせて頂けますよう、これからも皆さまと共に歩んで参ります。本日は、有り難うございました。

合 掌

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新型コロナウイルスの感染予防に徹し、ご遺族、各支部の代表による式典を行いました。

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真心からのご供養を捧げる近藤雅則仙台教会長

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