7月29日、石巻教会と合同で本年2回目の「政治学習会」を開催しました。今回は宮城県選出の衆議院議員である小野寺五典元防衛大臣(自由民主党所属)を招き、「わが国の防衛と安全保障」と題して講演をいただきました。その内容は次の通りです。
【講演内容の要旨】
まず、私はかつて防衛大臣を務めていましたが、防衛大臣のもっとも重要な任務は戦争を起こさないことです。そのためには、他国が日本につけいるスキを与えないこと。プーチン大統領がウクライナに侵攻した理由は、ウクライナが弱いと考えたからで、他国に日本が弱いと思わせないことが重要なのです。
ロシアのウクライナ侵攻により、わが国の防衛・安全保障の考え方は大きく変わりました。これまでは専守防衛ということで、攻撃されるまでは反撃しないという考え方でした。しかし、相手が一方的に武力攻撃をしてくる、しかも強力な兵器でもって一気に攻められてしまう可能性がある以上、これまでの考え方を変えなければ、国や国民を守ることはできない状況になったからです。
そこで日本はアメリカのみでなく、頼みとなる仲間づくりをしようと考えています。一つは日本、アメリカにオーストラリアとインドを加えたクワッド(QUAD)。さらにより強力なヨーロッパの軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)との関係を深めたいと考えています。しかし、NATOと同盟関係をもつには、各国が達成しなければならない努力目標があります。それは防衛費を国民総生産(GDP)の2%とすること。現在の日本の防衛費はGDPの1%ですから倍増することが求められるわけです。
防衛予算を倍にするには、それなりの負担が増えるわけです。しかし、増えた防衛予算を使ってさまざまな研究開発が進むと期待できます。日本の技術や製品は自動車、新幹線、半導体、ウォークマンなど、かつては世界をリードしていましたが、現在は中国や韓国などの海外にとってかわられています。戦前の戦闘機の研究をしていた人たちが、新幹線や人工衛星など、戦後日本の技術開発を支えていました。防衛費の増額により研究開発が進めば、日本が将来食べていくための技術や製品が生み出されることも期待できるのです。
いったん戦争になれば、そこに生活する人々は命や財産を失う被害にあうばかりか、金儲けの食い物にされます。だから絶対に戦争は起こしてはならない。私は防衛大臣になったとき、その職務を離れるときまで、自衛隊員が一発の弾も撃つことなく平和が維持されることをひたすら願っていました。浜田現防衛大臣も同じ思いだと思います。
(文責:渉外部事務局)
講演後は参加者との質問応答が行われ、いっそうの理解を深めることができました。
今年の政治学習会の主な目的は、幅広い考え方を学ぶこと。特にわが国の防衛と安全保障に関する学びを重視しています。次回の講演者は立憲民主党所属の安住淳衆議院議員を予定しています。