🍀 “人を幸せにするよう「ことば」を使いましょう” 教会長 近藤雅則(令和元年12月)
- 2019/12/1
- 心を創る
今月の会長法話は、「弁を尽くす」がテーマ。
お釈迦さまの十大弟子の一人である富楼那(ふるな)は説法第一といわれ、とても雄弁であったと伝えられています。しかし、彼の雄弁は、世間によくある口先だけの能弁ではなく、教えをしっかり理解した上で、それをよくかみくだき、どんな人の頭にもはいりやすく、どんな人の心をも感動させるように話すことができたとのことです。
“ことば”は、とても大きな力をもっています。“ことば”の使い方次第で、人を幸福にすることもできれば、傷つけることも容易にできます。よって、“ことば”の使い方を学ぶことはきわめて大切なことだと言えます。
あるご夫婦の話です。結婚して長年が過ぎ、夫婦二人の生活も長く、会話はほとんどなくなっていたようです。ある日、二人でテレビを見ながら「おとうさんは大したもんだねー」と、無意識のうちにご主人を褒めたそうです。すると、ご主人がこれまで見たことのないような嬉しい笑顔になったそうです。その時思ったそうです。人はたった一言で、こんなにも喜ぶものなのか。それ以来、ご主人が喜びそうなことばを使うように努力したそうです。“ことば”の使い方だけで、これまで味わったことのないようなありがたい生活に変わったわけです。
もう一つの話は、布教先での話です。ある新入会員さん(Aさん)がベテラン会員さんと布教に行ったそうです。訪問先で入会を勧めるのですが、相手はなかなか納得されない。「いい教えであることは分かるのですが、家族の意見もきかなければなりませんし…」と、拒んでいました。
しかし、Aさんは根気強く、信仰のありがたいことを一生懸命伝えたそうです。最終的には、そのAさんの熱意というか、“思い”が伝わり、相手の方が入会されたそうです。一緒に行っていたベテラン会員さんは、自分はAさんのように情熱をもって、正直に教えのありがたさを語っていただろうか。どんなに正しく立派なことばでも、理屈だけでは伝わらないことを再認識できたとのことでした。
立正佼成会に「入会者即布教者」ということばがあります。入会まもない新入会員であっても、この仏道に導かれた喜び、感動を、あるいは自らの未熟さや反省点をありのままに伝える。その正直で真剣な話や姿勢に多くの人が感化されました。
“ことば”には、それを発する人の心や情熱が宿り、人を動かす力・変える力があることを知り、人を幸せにするよう使わなければなりません。
2019年12月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則