チーズを食べて元気に生きよう!! 齋藤忠夫(東北大学大学院農学研究科教授)
- 2017/5/1
- 明日を創る
チーズを食べて元気に生きよう!!
― チーズの機能性と健康科学 ―
齋藤忠夫(東北大学大学院農学研究科教授)
4月15日、仙台教会道場において、「チーズの機能性と健康科学」と題して齋藤忠夫先生からご講演を頂きました。この講演は、仙台教会「あおばの会」第1回教育グループの講演会として開催され、健康のためのチーズの力の素晴らしさを改めて教えて頂きました。今回は、その講演の要旨をご紹介いたします。
◇世界のチーズの種類
世界にチーズは1000種類もあると言われています。ヨーグルトと異なり、クセの強いチーズもたくさんありますので、好き嫌いが分かれる食品かもしれません。最近、日本でもチーズは食べられるようになりましたが、年間一人あたり約2.2キログラム、一日あたりでは約6グラムとまだまだ少量です。
ちなみに、フランスでは日本人の10倍以上も食べられています。チーズを食べ、赤ワインを飲む方には「認知症」が少ない、という研究結果もあります。
日本人は牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる「乳糖不耐症」の方が多いですが、チーズには乳糖がほとんど含まれないので、年配の方でも安心して召し上がれます。チーズはフランスの分類を参考にして発酵方式により7種類に分かれています。
チーズは牛乳や羊乳や山羊乳を乳酸菌やカビで熟成させて作る発酵食品です。チーズは熟成させないフレッシュチーズと熟成チーズ(白カビ、青カビ、セミハード、ハード、ウオシュ、シェーブル)があります。皆さんはどのタイプのチーズがお好きでしょうか?
◇チーズの健康機能
チーズにはたくさんの優れた健康機能が見出されています。以下にチーズの機能性についてお示しします。特に高齢者の方は、「骨粗しょう症」や「サルコペニア」(筋肉減少症)や「認知症」を防止する効果の高いことは、老後の健康を保つための重要な食品といえます。できましたら、毎日20グラム以上のチーズを召し上がることをお勧めします。
《チーズの機能性》
(1)「虫歯」を予防する効果
・乳タンパク質のカゼインが酸を中和、リン酸カルシウムが脱灰防止
(2)「骨粗しょう症」を防ぐ効果
・牛乳の10倍量のカルシウムを含み、約40%と吸収されやすい
(3)筋肉を増やす効果
・ロイシン、イソロイシンなどの分岐鎖アミノ酸が筋肉を増やす
(4)血圧の上昇を抑える効果
・熟成型チーズには、血圧を下げるペプチドが多く含まれる
(5)ダイエット効果
・カルシルムが脂肪を燃焼させて、長期摂取は太りにくい体質に導く
(6)「認知症」を予防する効果
・カビ系のチーズに特に効果が認められ、2つの成分が特定された
また、舌には「味蕾」(みらい)という味を認識する器官がありますが、チーズの中の旨味(グルタミン酸ナトリウム)は口腔内だけでなく胃にも認識する部位が見つかりました。 食事で何度も感じた美味しさの刺激はすぐに脳に伝わり、消化液が多く分泌され消化管も活発に動いて消化が促進されることが分かりました。
食事は美味しいと感じることがとても大切であり、家族や友人と一緒に賑やかに楽しく食事を摂ることは健康にとても大切のようです。
私たちもチーズのある楽しい食生活を日ごろから心がけたいですね。
〈講師プロフィール〉
東京都出身。東北大学大学院農学研究科博士課程修了、農学博士。1989年から東北大学大学院農学研究科の助教授、准教授を経て、2001年より教授、現在に至る。合わせて、日本酪農科学会会長、アジア乳酸菌学会連合(AFSLB)会長、東北大学学長特別補佐(企画担当、2012-2013)を務める。
著書として、『酵素ハンドブック』、『ヨーグルトの事典』、『食料の百科事典』、『農学大事典』、『チーズの科学』など、約30冊と多数におよぶ。