“思い通りにしたい心“が苦の原因! 教会長 近藤雅則(平成30年5月)
- 2018/5/1
- 心を創る
『佼成』5月号の会長法話は、「楽しく生きる」がテーマ。
私たちは、誰もみな楽しく生きることを望んでいます。しかし、心から楽しんで生きている人はどのくらいいるでしょうか?そして、楽しく生きられるかどうかは何によって決まるのでしょうか?
庭野日鑛会長は、天地自然の変化を素直に見て、それをありのままに受けとめていくこと。言わばものごとを正しく見る「正見」ができるかどうかで決まると教えられています。例えば、コップに水が半分入っている。これを見て「半分しか入っていない」と不満を感じる人と「半分も入っている」と満足する人がいます。同じコップの水を見ているのに、何が違うのでしょうか。それは見方に他なりません。この見方によって、人生の楽と苦、幸と不幸が決まるのです。
この見方の違いは、どこに元があるのでしょうか?それは、自分本位の見方であり、「なんでも自分の思う通りにしたい」という心です。この心が苦を生み出す根本原因と言ってもよいでしょう。この心を何とかしない限り、どんなに相手や環境を変えようとしても、苦悩はなくならないのです。
では、どうしたらその心を治すことができるのでしょうか?私たちの頭(心)の中は、ほぼ100%自分のことばかりです。そこにわずかでも自分以外のことを入れる隙間を作ることです。例えば、他人や世の中のために奉仕する。仏教では、それを布施行と言います。布施行によって、自己中心の心が減少し、その分だけ、ものごとがありのままに正しく見えるようになれるのです。
布施行とは、体を使って行う身施:しんせ、財産を施す財施:ざいせ、役立つ情報・知恵を伝える法施:ほうせがあります。最高の法施は、言うまでもなく、正しい真理の教えを伝えることです。
財産もなく、体も弱く、何もできないと思う人でも「無財の七施」というものがあります。眼施:げんせ(やさしいまなざし)、和顔悦色施:わげんえつじきせ(にこやかなえがお)、言辞施:ごじせ(やしいことば)、身施:しんせ(体で行う善行)、心施:しんせ(他に心をくばる)、床座施:しょうざせ(席や場所を譲る)、房舎施:ぼうじゃせ(家を提供する)です。大切なのは、人のために何かさせていただこうという心です。
そして重要なことは、すべての人が“誰かのために役立ちたい”、“人に喜んでもらいたい”という心を必ず持っているということです。
最後にもう一つ楽しく生きる極意。それは主体的、自発的に生きていくことです。他から言われてしぶしぶ動くというような受け身の生き方では、楽しさを味わうことは絶対できません。主体的、自発的に動くには勇気が必要です。失敗を恐れず、“まずはやってみよう”この精神で動いてみましょう。
合 掌
平成30年5月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則