今月の『佼成』ご法話のテーマは身心を養う「食」とはです。
度を越して食を貪る人に対して、釈尊は「大食らいをして眠りを好み、転げまわって寝て、まどろんでいる愚かな人は、餌を食べて太る大きな豚のよう」(法句経)だと厳しい指摘をされています。(10頁3行)
現代のようにおいしい食物がさくさんある時代には、なかなか耳が痛い方も多いと思いますが皆さんはいかがでしょうか?仏教では、ほどほどの量の食事を感謝とともにいただくことを大切にしています(11頁3行)とありますが、身心の健康のために心に銘じておきたい言葉です。
また、種々の情報や身心で受けとめる感覚などが心を育み、私たちは存在している(12頁7行)とあります。最近では、インターネットの普及もあり、世界中の情報が入ってきます。そうした情報の中には目をそむけたくなるような事故や事件、あるいは悲惨な災害や戦争などのニュースが大量に入ってきます。その影響で私たちの心(潜在意識)は、ネガティブな情報であふれ、不安が充満しているのではないでしょうか。
ポジティブなことを思うと幸運なことが生じる。逆にネガティブなことを思うと不運なことが生じる。これは「引き寄せの法則」とも言われますが、仏教でも「一念三千」や「三界は唯心の所現」という言葉で同じ意味のことが教えられています。
私たちは何事もプラス発想で、ポジティブなことを思う努力をしていますが、幸運なことよりも不運なことばかりが生じ、悩んでいる方が多いのではないでしょうか。その原因の一つは、大量のネガティブ情報のためなのです。よって、私たちが幸せになるには、入ってくる情報を取捨選択し、ネガティブ情報を避け、ポジティブで良質な情報をとり入れることです。
もう一つ、「ただ生きる」のではなく「健康で幸せに生きる」ことは、人間に与えられた一つの特権です(14頁6行)と示されています。人間以外の動物は生きるために食べ、子孫を残すために生きているようですから、「健康で幸せに生きる」のは人間だけの特権ということなのかもしれません。
では、「健康で幸せに生きる」とはどのような生き方なのでしょうか?ぜひ、皆さん自身でしっかり考えていただきたいと思います。その答えを認識することで、①人間として生きる目的を知ることができ、②尊い“いのち”をいただいたことの真のありがたさを実感できるのだと思います。
合 掌
2023年7月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則