今月の『佼成』の会長先生ご法話のテーマは自分を思いやるです。
心が傷つきやすく、「自分にやさしくあること」が、いまほど必要なときはないと述べられています。
仙台教会では『認めて・ほめて・感謝する』という修行を続けています。相手の何を『認めて・ほめて・感謝する』のか戸惑う人もいて、「まずは“長所や良い点”を見つけ、『認めて・ほめて・感謝する』をしてみましょう」と呼びかけていました。
最初は、欠点ばかりが目についていましたが、続けていくうちに、“長所や良い点”が、たくさん見つけられるようになってきたそうです。それは、相手の“長所や良い点”が増えたのではなく、こちらの見方が変化・向上したのだと思います。
この『認めて・ほめて・感謝する』は、たんに“長所や良い点”だけではありません。もっと人間の深いところにある“いのちの本質” “すべての人がもつ尊厳性”といったようなもので、仏教ではそれを“仏性”と呼んでいます。
教団の創立百年にむけた“基本構想”の中にこんな言葉があります。
今、多くの人が、自分には得意なものが何もない、他の人のようにうまくやることができないと考え、希望を失っています。他人の成し遂げたことや社会的地位を羨ましく思い、自分は失敗者だと考えています。
(中略)私たちはこうした思いを抱いている人々と惜しみなくつながりましょう。彼らのところに出向いて、語りかけましょう。「あなたは劣等感を持つ必要などありません。あなたの中には、あなたを素晴らしい存在にするとても良い種があるのを私は知っています。自分の中をもっと深く見て、あなたの中の種に触れ、育て、自分は無価値だという思いを乗り越えて、本当の自分に出会ってください。(22頁1行)
この本当の自分に出会うとは、自分の本当の価値(仏性)に気づくことです。そうすることで、本当の生きる力が得られ、元気になれるのだと思います。そのことを説いた法華経の教えは、現代人への救いのメッセージです。心が傷つきやすいいまほど、それが必要なときはないと感じますが、あなたはどう感じますか?
合 掌
2023年5月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則