🎍新春特別インタビュー✨「あの日見た光になりたい」(第1回)五十嵐沙予 ✨

「今 この時」2011年 福島県須賀川市立大東中学校1

 仙台教会ホームページ《明日を創る》の、2021年新春特別インタビューは、ステンドグラス作家として国の内外で活躍される、五十嵐沙予先生にご登場いただきます。五十嵐先生の芸術家としての今日までの歩み、ステンドグラス制作への思い、情熱、そして人生観・世界観について、3回シリーズでご紹介して参ります。
 また、この記事は仙台教会婦人部ミニコミ誌「ふら和ぁ」との連動企画で、インタビューアーは仙台教会婦人部長 安藤高子さんです。

五十嵐先生 お顔写真

ステンドグラス作家 五十嵐沙予先生

安藤 五十嵐先生、本日はよろしくお願い致します。五十嵐先生は、現在ステンドグラス作家としてご活躍されてらっしゃいますが、芸術家としてステンドグラスを選ばれたきっかけなど教えていただけますか?

五十嵐 笑いながら聞いてくださいね。若いころ、ガラスを見た時に抱くイメージは、すごく繊細で壊れやすそうだということでした。私自身が、そのように壊れやすい精神(こころ)の持ち主だと思っていたので、ガラスと自分が重なり、ガラスに心から惹かれて少し安心するような気もしました。
 実際にステンドグラスを始めて、ガラスに関わり、取り組んでいくなかでわかったことは、ガラスはそんなに繊細でもなければ、弱々しくもなくて、すごくたくましいものだということです。(私が最初に抱いていたイメージとは違ってたな~)っていう発見でした。こうして約35年間続けてきましたが、ガラスも丈夫だったけど、おかげさまで、自分の心も丈夫だったなあって、最近、気付くようになりました。

安藤 ガラスと先生がリンクされて、ガラスから安心を頂いたという感じもありますか?

五十嵐 壊れやすそうで、壊れないのよね。壊れる時は勝手に壊れるけど。壊れそうで壊れない。それは、すごいことだと思いました。自然と長い間に、ガラスを真似してきた自分があります。その強さみたいなものが自分にも流れてきた気がします。

安藤 先生の感性がやはり特別な感じがします。今現在も、作品を作ってらっしゃると思うのですが、作品の構想を練るときは、どこで、どのようにして練られるのですか?。先生ご自身のルーティンみたいなものはおありですか?

五十嵐 以前はね、お風呂に入っている時にイメージをふくらませていました。浴槽に入っている時に水面に絵が浮いて見えてきたの。“これだなって”と思って立ち上がると消えてしまうじゃない?私が動くから。そこで、浴槽の中でそのまま動かずに、見えてきたイメージをまばたきもせずに、頭に、そして心にず~っと焼き付けて、そ~っとお風呂から出てました。

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自らの体験を語る五十嵐先生

安藤 すごいですね!!

五十嵐 波が立たないようにそっと出る。そうすると、自分の浮いてきたイメージが消えない。だからそうやって、お風呂から出てすぐ、絵に描いたりしていました。でもやがて、この『法華経』の教えを信じてからは、読経供養している時に如来寿量品第十六ぐらいのところまで読誦してくると、ここに見えてくる。

安藤 目の前にですか?!

五十嵐 目の前じゃない!!右側に!

安藤 右側にですか!?

DSCF0942

五十嵐先生のアトリエで真剣にお話を伺う安藤高子教会婦人部長

五十嵐 だから、読経供養に集中してないのかもしれませんよね。でも、16番くらいになると右側に見えてくる。それで、「あ~これだ!!」と。そうすると、もうあとは安心してどんどん読経供養ができるのですが、その時に浮いたイメージはなぜだか消えないの。お風呂の時は消えてしまうけど、ご供養で見える時は、不思議なことに縦長にスーッと見えて消えない。
 今ではお陰さまで、お仕事のお話しをいただいて、その現場に行かせていただいた時点で、すぐに「こんなふうにしたらどうだろう」というおおまかなイメージは浮かんでくるようになりました。

安藤 病院や、学校、場所によってイメージが浮かんできますか?

五十嵐 ステンドグラスはどんな場所にあっても、光を通して床に映ったり、壁に映ったりする幻想的な色と影に大きな魅力や力があります。ただ作品を見るのも綺麗なのですが、光をいただいて発揮する力がとても大きいのです。
 私の体験なのですが、家族に病気が見つかり、病院の廊下をうつむいて、下を向いて歩かなければいけない時期がありました。先生にお話しを伺いに行くのに、「もうダメなのかな。病気がダメならどうしよう・・・」。もうそのことで頭がいっぱいで歩くわけです。
 でも、人間って不思議なもので、ちょっとでも何か違うご縁にふれると、その一瞬、今までと違う感情が湧いてきますよね。私の場合も、いろいろと思いを巡らしながら下を向いて歩いている時に、例えば廊下に大きなゴミが落ちていたら、そのゴミというご縁によって、「誰が捨てたんだろう。拾わなくちゃ」という感じで、「どうしようかな」っていう勝手に絶望してる自分から、一瞬でも離れることができるんです。
 その時、そういう役割をゴミとかが落ちているということではなくて、「ステンドグラスの光がそこにあるといいな」と思ったのです。例えば、私のように悩んだり、苦しんだり、あるいは絶望の淵に追い込まれそうになっている人が、廊下に映るステンドグラスの光や姿、色合いを見て、「なんだろう、これは?」とふと顔を上げる。
「あっ、あそこのステンドグラスから光がきているんだ!なんて綺麗なんだ」ってハッと見上げる。家族の病気で下を向いていた、あの時の自分がもしそのように思えたら、きっとその一瞬の救われがまた私を前に歩かせてくれる。そう思えたの。
 あの時はそういう体験を通して、自分を救いたかったのかもしれないですね。

「いのちの泉」 2011年 湯浅報恩会寿泉堂綜合病院待合ホール(決定写真&アイキャッチ)

「いのちの泉」(福島県郡山市 寿泉堂綜合病院 待合ホール 2011年)

安藤 お話しを伺っていて、先生の作品で救われてらっしゃる方、心に光を頂いてる方がたくさんいらっしゃると感じました。私も昨年病気をして現在も治療中ですが、目に映るものから心を救ってもらったことが何度もありました。

五十嵐 自分が作品を作りながら、一番力をもらっていたように思います。あんまり弱音を吐いていてもしょうがないし、自分を奮い立たせながら前に進めていけるかなってことばかり考えて生きてきた気がします。
 ステンドグラスと出会った頃は本当に弱くて、繊細な私でした。ガラスに惹かれてステンドグラスを始めましたが、もともと、若い時の自分の心の中には、外に向かって表現せずにはいられない「塊(かたまり)」みたいなものがありました。それが、なんなんだろうってずっと思ってきました。それで、絵を描いてみたり、油土で形を作ったり、何で自分が表現できるのかを模索してきました。父や母を亡くし、もう本当にさみしかったことを文章にしてみようと思ったこともありました。そんな時、知り合いのステンドグラス作品展を見に行って、「あ、これだ!」って思ったのです。
 でも、実は私、ステンドグラスを制作していくこと自体が、一番苦手なんですよ。

安藤 すごいですね!いろんなことに挑戦されながら、たどりついたのが一番苦手なことだったのですね。

五十嵐 一番苦手なことです。器用な人だとステンドグラスの作り方を教えてもらうと、すぐできたりするんだけど、私は全然できなかったんですよ。

安藤 意外です!!

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五十嵐 本当にそう。でも、私は負けず嫌いだから。なんとかできるようになりたくて、こうアクセルを踏み込んで全開っていうか、少し頑張ったんですよね。始めてから約35年くらいかかってるんだけど、自分自身に対して「もういい加減になんとかならないのかな」って思う時もありますよ。苦手だなっていまだに思います。
 でも表現はしたい!自分のイメージを出したいから、やっぱり一人でするしかないんです。作り手として一人でするしかないんだけど、とにかく一番自分には向いてないことだなと今でも思っています。

安藤 たくさんの作品を生み出してらっしゃるのでとても意外です。でもきっとだからこそ、先生は生徒さんにお伝えするときに、とても的確に教えてくださるのですね。

五十嵐 自分が今まで失敗ばっかりしてるから、どうすると失敗するかわかるんです。生徒さんたちにも失敗してもらうことは大事なんだけど、つい、老婆心が出てしまいます。私より下手な人は、ここだけのお話しで、今までね一人だけいました。でもその方は失敗をたくさんしたけど、そのことを自らの力にして、今、独立して先生になってます。

安藤 そのようなことを教えていただくと、とても希望がわきます。私は「自分にも何か才能があったらいいな」とか、そんなことをつい考えてしまうのですが、先生も最初からできていたわけではなく、ご自分が表現されたいことを根気強く続けていらしたのですね。それがとても大事なことなのだと教えていただき希望がわいてきました。

五十嵐 そうですか?ただ、辞めることなくず~っと続けていたら、今の年齢になっていました。でも、こうして続けられている環境もまた有難いなって思っています。

※次回(2月15日)に続きます。お楽しみに!!

「ただ一つの心」 2004年 オタワ愛徳修道女会礼拝堂2

「ただ一つの心」 2004年 オタワ愛徳修道女会礼拝堂1

「ただ一つの心」(宮城県仙台市 オタワ愛徳修道女会 礼拝堂 2014年 上記写真2枚)

「光」 2012年 筑波大学附属病院けやき棟

「光」 2012年 筑波大学附属病院けやき棟2

「光」(茨城県つくば市 筑波大学付属病院 けやき棟 2012年 上記写真2枚)

〇五十嵐沙予先生プロフィール
神奈川県横浜市出身
1987年 第1回日本ステンドグラス作家協会公募展審査員特別賞受賞
1988年 ステンドグラス工房べるふぁむ設立・作家活動開始
ミヤギテレビニュースにて放映
読売新聞社家庭欄にて紹介記事掲載
朝日ウィル一面にてステンドグラス作家として特集される
1989年 仙台放送「マインドトーク」出演
ステンドグラス教室開設
1995年 第1回教室作品展開催
1997年 遠田郡小牛田町公民館に於いて出張教室を開始
1998年 東北放送・東日本放送・仙台放送など各局ニュース番組で放映
難病の子供支援全国ネットワーク主催・七夕キャンプ「がんばれ共和国」に於いて「ふれあいステンドグラス村東北」の事務局代表に就く
1999年 NHKゆうゆう東北”千客万来”出演
情報誌「りらく」”ものづくり人”にて特集
2001年 河北新報”街いま”にて東大病院に作品制作を特集される
2001年 東京大学医学部付属病院エレベーターホールに「譲音」を設置
2003年 ミヤギテレビ「あっ晴れテレビ」「OH!バンデス」にて宮城こども病院の作品紹介される
2004年 仙台光のページェント協賛作品展に出展
2008年 工房・事務所を現住所に移転
2009年 NHK文化センター ステンドグラス教室講師
2012年 仙台市泉区八乙女にステンドグラス教室を増設
2013年 仙台メディアテークにてべるふぁむ一門のお弟子さん6教室と合同作品展開催
2018年 仙台メディアテークにてステンドグラス工房べるふぁむ(八乙女教室・NHK文化センター教室)生徒作品展開催

主要作品暦
1988年 「天女舞」仙台青葉祭り 藤崎デパート恵比寿山鉾(仙台市)
1989年 「裸婦二体」SS30ビルエルミタージュ(仙台市)
1990年 「華.満つる」 裁松院ホール(仙台市)
1991年 「森の声が聞こえますか」ハロースポーツメンバーサロン(仙台市)
1992年 「えりけいじゅ」福島県富岡町役場庁舎ホール
1993年 「丘の子ひろば」仙台市立台原小学校ホール
「主よ御元に」仙台特別養護老人ホーム シオンの園 礼拝堂
「芳光」芳澍女学院情報国際専門学校 玄関ホール(東京都)
「ひと枝から」同上 各教室
「さら」藤崎デパート2・3F 婦人化粧室(仙台市)
1994年 「衣・座・室」日本ステンドグラス芸術協会展(横浜国際会議場)出品
1995年 「あんのん」岡野電気工事 仙台支社ホール
1996年 「さんそうにもく」秋田県町立羽後病院待合いホール、エレベーターホール
1997年 「涌・ゆ」東北大学付属病院 中央廊下
「Motherly」東北公済病院 エントランスホール
1998年 「ほうじょう」丸森町蔵の教郷土館 斎理屋敷 新館
「そして、始まる」光が丘スペルマン病院 ホスピス館(仙台市)
「輝」 日本コムシス東北支社 玄関ホール
「森の調べ」わかくさ幼稚園 2Fホール(仙台市)
「生成り」特別養護老人ホーム パルシア 礼拝堂(仙台市)
1999年 「花波」仙南信用金庫川崎町支店
「聖母の被昇天」石巻カトリック教会
「右大臣 左大臣」宮城県神社庁社
2000年 「一灯照隅」秋田県羽後町老人保健施設
2001年 「譲音」(ゆずりね)東京大学医学部付属病院エレベーターホール1~14F
2003年 「光・誕生の時」宮城県こども病院 祈りの部屋
「双葉と仲間たち」宮城県こども病院 各病室ドア他
2004年 「ただ一つの心」オタワ愛徳修道女会 礼拝堂(仙台市)

2006年 「慈愛」(めぐみ)仙台オープン病院玄関ホール(仙台市)
「ありがとう」築館消防庁舎(栗原郡)

2009年 「淑音」(しゅくおん)雫石町立健康センター
2010年 「いのちの泉」湯浅報恩会寿泉堂綜合病院2、3階待合いホール(福島県)

2011年 「今 この時」福島県須賀川市立大東中学校
2012年 「光」 筑波大学附属病院けやき棟(茨城県)
2013年 べるふぁむ一門 6教室 合同作品展開催 せんだいメディアテークにて
2014年 「暁の希望」佼成病院デイルーム 3F-8F(東京都)
「シャボン玉」佼成病院 病後児保育室
「誕生」仙台市立病院 産科病棟
2015年 「百年桜」須賀川市立第一小学校
2017年 「always better」飯館村 道の駅 までい館
2018年 「光陽」(ひなた)仙台オープン病院玄関ホール
「和顔」(わげん)仙台オープン病院緩和ケアセンター

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