「ダメ。ゼッタイ。」 〜薬物乱用の現状と啓発活動の大切さ4 ~ 深澤 逞(大崎地区薬物乱用防止指導員協議会 会長)
- 2017/11/1
- 明日を創る
薬物乱用の根絶に向けての取り組みを長年にわたり続けていらっしゃる、深澤 逞先生(大崎地区薬物乱用防止指導員協議会会長、薬剤師、有限会社 健康堂薬局会長)から、薬物についての基礎的な知識と乱用の怖ろしさ、そして薬物乱用防止に向けての啓発活動についてお話を頂戴しました。今月はその第4回目で最終回です。
◇私たち一人一人の薬物根絶意識を高めるために
現在も続く薬物乱用を根絶させ、よりよき社会づくりに向けて私たちはどのように対処していけばいいのでしょうか?
それには、特に若年層を中心とした国民一人一人の薬物根絶意識をより高めていくことが大切であると思います。
そこで、平成6年(1994年)、宮城県知事の委嘱により「大崎地区薬物乱用防止指導員協議会」が発足しました。これは、薬物乱用防止のための普及啓発運動をこの大崎の地域で、より積極的に展開していくためです。
啓発強化と未然防止の推進のため、
①学校等における薬物乱用防止のための指導・教育の充実強化。
②有職・無職少年に対する啓発の強化。
③薬物根絶意識の醸成と未然防止強化。~地域団体の関係者による啓発活動の大切さ~
④広報啓発活動の強化。
⑤関係機関による相談体制の構築
を目標として、発足以来、今年に至るまでの23年間にわたり、以下の啓発事業の活動を続けて参りました。
活動1.「ダメ。ゼッタイ。」普及運動
平成10年(1998年)の国連麻薬特別総会において、「薬物乱用防止のための指導指針に関する宣言」(国連薬物乱用根絶宣言)が決議されました。その宣言を受けて、大崎地区では、毎年行われる「古川夏祭り」の際に、街頭において一般市民を対象に啓発活動を実施しています。
活動2.麻薬・覚せい剤禍撲滅強調月間運動
大崎市「健康と福祉の集い」(毎年10月下旬)に「ダメ。ゼッタイ。」コーナーを出展し、2日間に亘って啓発活動を実施しています。
活動3.健康教育出前講座
小・中・高校の学校等における薬物乱用防止のための指導・教育として出前講座を実施し、その講師として啓発活動を随時、実施しています。
◇結びにかえて
私たちはすべて尊いいのちを持って生まれきた、一人一人がかけがえのない存在です。薬物乱用からの脱出、回復には、もちろん法律や罰則というものも必要です。しかし、それ以上に大切なことは、薬物乱用を未然に防いでいく〈社会づくり=環境づくり〉と、薬物依存者、乱用者に対しての〈適切な治療〉であると私は思っています。
〈適切な治療〉という観点で見るならば、薬物への依存・乱用は「世界保健機関」(World Health Organization; WHO)によって認められた、れっきとした精神医学的障害であり、また日本における「精神保健福祉法」においても精神障害の一つとして明記されています。
メンタルヘルスの障害であるならば、その薬物乱用者への治療は、単に「薬物」という「モノ」をやめさせることだけではなく、その薬物乱用によって苦しんでいる一人の人間が、しっかりと後々まで治療を受け、その地域社会で普通に暮らせるようになることを大きな目標にしなければならないと私は考えます。
そのような意味でも、これからも薬物乱用の根絶をめざして啓発強化と未然防止の推進に取り組みながら、薬物を乱用してしまった人に対してもしっかりと更生を促していける、そんな住みよい社会づくりを進めていきたいと思っております。
「ダメ。ゼッタイ。」
危険な薬物は、たった一度の乱用でも、私たちの心身を壊してしまいます。もし、危険な薬物を誘われたら、家族、恋人、友人など大切な人を思い浮かべてください。
あなただけでなく、大切な人までも傷つけてしまうのです。
誘われたときは、しっかり、はっきりと断る勇気を持ちましょう!!