今月の『佼成』会長法話は「人さまに喜ばれる人に」がテーマです。
心に響くお言葉がいくつかありました。もっとも印象深いのは、“人生で最大の楽しみは人を喜ばせること”(P15.末)というお言葉です。
こんな願いをもって、日々人と出会うことができたら、最高に幸せだと思います。なぜなら、人を喜ばせている人自身が、相手以上に喜んでいると思うからです。
悩みをもった人に真剣にかかわり、その問題が解決して救われたとき、救われた人以上に大きな喜びを感じた経験を持つ人が本会にたくさんいらっしゃるはずです。それはモノやお金には代えられない真の喜びであり、人間として最高の喜びだと思います。この喜びが信仰の大きな功徳であり、信仰を続ける原動力であると思います。
仏性は礼拝されることで、さらに大きく成長し、輝き出すようです。現在、皆さんが実践している「認めて・ほめて・感謝する」は、仏性礼拝の具体的実践です。
「認めて・ほめて・感謝する」を人からされると、だれでもうれしくなります。そして、された人以上に、実践した人自身はもっとうれしくなります。自然と気持ちが明るく前向きになり、何事にも自信がわいてきます。そして、ますます「認めて・ほめて・感謝する」を実践したくなるのです。
“人に喜ばれる生き方を心がけていれば、だれもが自分のいる場所で菩薩になれる”(P16.4)というお言葉も大切です。
菩薩行と聞くと、信仰者のみが行う特別なことと思うかもしれませんが、そうではないのですね。しかも、何か特別に難しいことをすることでもないと思います。たとえ寝たきりの人でも、その笑顔や感謝の言葉で人を喜ばせることができる(P16.7)ということですから。
よって、心の持ち方一つで、日常の家事も立派な菩薩行になります。
家族のために食事を作ることも、「この料理を食べて喜んでもらいたい、元気になってもらいたい」という心で行えば、りっぱな菩薩行になるのです。
これは掃除や洗濯など、すべてについて言えることです。私たちが日常的に何かを行うとき、誰かの喜ぶ顔を思い浮かべてみましょう。すると、その場で、あなたは素晴らしい菩薩に変身できるのです。
また、菩薩とは年齢や教会のお役に関係なく、「あの人に話を聴いてもらいたいと思われる人になる」ことでもあると思います。本年の布教方針は、“ニュー方便時代~一人一人の救い救われに向かって”です。この救い救われに向かっての第一歩は、安心して自分の気持ちを正直に話せることであり、それをやさしく聴かせていただくことだと思います。今年は、特にそんな意識をもって精進していきましょう。
“佼成会は、まごころという『神力』を発揮する人でいっぱい”(P15.1)というお言葉を読ませていただくと、とてもうれしく感じました。すべての人に仏性ありですから、人さまに喜ばれることを喜びとする心をだれもがもっているはずです。その善なる心を呼び起こし、共に発揮していくことが私たちの役割であり、それが真の布教の意味だと思います。
臨済宗の僧侶であり、「南無の会」の会長としても有名だった松原泰道老師は、101歳を迎えたときに、「私はいま人の助けを借りなければ、一人で寝起きすることもできません。いまの私は読むこと、書くこと、話すことしかできませんが、生きている人の心に明かりを灯す法を説きたい。そのために生きている間は勉強を続けたい。学び続けたい」と語っておられたそうです。
「お見事な生きざま」だと感じいりました。不安に震えている人、絶望の淵に落ち込んでいる人、そうした人たちの心に安心や希望の明かりを灯す法を説きたい、私もそのような願いをもって精進して参りたいと思います。
合掌
2021年2月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則