【📝特別寄稿】「11年目の3.11を迎えて」~一食活動とウクライナ危機にも思う 仙台教会長 近藤雅則

名取市閖上で

名取市閖上にて

 3月11日、11年目の「東日本大震災慰霊・復興祈願の日」を迎えた。仙台教会では、教会道場(9時)、名取市閖上(11時半)、山元町普門寺(13時)の三か所において、慰霊・復興祈願のご供養を人数制限の上で行った。
 大震災から11年が経過し、いま残された課題は次の2点のようだ。一つは風化に対し、どう次世代に教訓を伝承していくか。もう一つは「心の復興」。大事な家族を亡くした悲しみ、家や住み慣れたふるさとを失った心の痛手は深く、これをどう癒し、元気な生活を取り戻せるかは大きな課題だと思う。しかし、そうした悲しみや痛手は完全に解決し、なくすことができるものなのだろうか?

 人とは不思議なもので、他人の面倒をみることで元気になるものだ。自分のことだけをしていた方が、さぞ気楽で元気になれそうだが、実際はそうでない。人間の究極の幸せは、「人の役に立ち、人に感謝され、人から必要とされ、人から愛されること」と喝破した人もいたが、まさにその通りだと思う。
 その意味で、真の「心の復興」を果たしていくには、たとえどんなに些細なことであっても誰かの役に立ち、誰かを支える側になることだと思う。そうすることで、悲しみや辛さを抱えたままでも、明るく生きがいをもって生きていくことができるのではないと信じている。

 本会では、一食を抜き、その代金分を献金し、それを世界各地の貧困や紛争にあえぐ人々のために拠出を行ってきた。これは単に、持てる者が持たざる人に物やお金を提供する活動ではない。自らも食事を抜いて、空腹や生活環境の辛さを自分の痛みとするところにこの活動の尊さがある。
 東日本大震災で被災した際、世界中から頂いた多くの支援の恩返しとして、また「心の復興」のために、この活動を宮城県全体で取り組んでみてはと村井嘉浩知事に提案申し上げたことがあった。拠出先が確定されていない募金を行うことは困難という理由で採用頂けなかったが、どこかの市や町、学校、企業などで取り組むことができたら、どんなに素晴らしいことかと思う。その市や町、学校、企業は、”思いやりの実践者”として、世界から称賛や感謝が寄せられるのではないかと思うが、皆さんはどう感じられるだろうか。
 今、世界中で注目されているウクライナからの避難者への支援も、この活動の献金を充てることができるだろう。もし、これを日本中で実践できたら、日本は世界中から尊敬され、大切にされるのではないだろうか。万が一、日本が大きな危機に直面した時に、多くの国や人から応援してもらえるのではないだろうか。それは、高度な外交や強力な軍事力にも匹敵する日本の大きな力になりうると思う。

合掌

 2022年3月11日

立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則

埼玉県明社の皆さんと

埼玉県明社の皆さんと

山元町普門寺で

山元町普門寺で

教会道場で

教会道場における「慰霊・復興祈願供養」後、一食活動の大切さと世界の平和を力強く呼びかける近藤雅則教会長。その言葉、表情・姿から近藤教会長の「不退転の誓い」が、ネットを通じて多くの会員へと力強く伝わりました。

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