今月の『佼成』会長法話のテーマは、心も体も傷つける「怒り」です。
“「瞋恚」の正体は、自分の思いどおりにならないとか、人に軽んじられたといっては怒ったり、人を恨んだりする「小我にもとづく自己中心の怒り」で、釈尊いわく、それは「猛火よりも甚だし」く自他の身心を傷つけるのです。”(11頁8行)
怒りは猛火よりも自他の身心を傷つけるとはどういうことでしょうか?
腹を立てたために職場で大失敗をしたり、人間関係を台無しにしたり、そうした苦い経験をした人は少なくないように思いますがいかがでしょうか。
私は自分を見失うくらいに怒った経験があります。約30年前です。家内の一言に怒りが大爆発し、お皿を投げつけたことがありました。そのお皿が家内には当たらず、そばにいた幼い子供にあたり、火がついたように激しく泣きだしました。あの時の凍りつくような光景と恐怖に震える家内の表情は生涯忘れることのできない痛恨の極みです。自分の愚かさと“怒り”の恐ろしさを痛感した出来事でした。
また、怒りが健康に与える影響も大きいようです。ある実験では、人が怒った時の息をため、それをネズミに吸わせると死んでしまうそうです。怒りの感情にはそのくらい強い毒性がある証拠です。実際、家族がいがみ合い、怒りをあらわにしていたら、家族みんなが健康を害し、さまざまな病気になりかねないのです。
一方で、怒りは人間にとってエネルギーでもあります。怒りを無理になくそうとすると元気もなくなります。よって、怒りはなくすのではなく、コントロールしていくことが大切なのです。とりわけ、次の4つの怒りのタイプは要注意です。
一つは“強い怒り”で、一度怒ると止まらない、激怒するタイプ。二つは“持続する怒り”で、長く根にもち、思い出し怒りを繰り返すタイプ。三つは、“頻度の高い怒りで、しょっちゅうイライラしているタイプ。四つは“攻撃性のある怒り”で、自他を傷つけ、モノを壊すタイプです。
そうした怒りをコントロールする方法として深呼吸をする、真言のかたちを借りた「おんにこにこ はらたつまいぞや そはか」と唱えてみる方法を会長先生は示されています。
その他、心の中でお題目を唱える、開祖さまの笑顔を思い浮かべるなど自分に合った方法を持ちましょう。怒りによって取り返しのつかない事態にならないために・・・。
合 掌
2023年10月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則