「志をもって、新年を迎えましょう」(教会長 近藤雅則 平成29年1月 )
- 2016/12/30
- 心を創る
皆さま、新年明けましておめでとうございます。旧年中は、皆さまから大きなお力添いをいただき、一年間無事にお役をさせていただくことができました。本当にありがとうございました。平成29年も、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、機関誌『佼成』1月号の庭野日鑛会長先生のご法話は、「地道に、淡々と」というテーマでした。この中で、深く心に響いたのは次の言葉です。
☆時間に追われ、効率や成果にふり回されることなく、地道に、淡々とやっていく。そこに人間らしい生活やほんとうの幸せがあるように思うのです。
☆目先の損得に左右されず、落ち着いて淡々と、着実になすべきことをなす。そのように生きることができればいつも心穏やかでいられ、人間としての向上も期待できそうです。」
☆あれをしよう、これをしようと一念発起したつもりでも、そのもととなる「切実な志」がなければ長つづきしない。
☆志に随っていま目の前にあることの一つ一つにていねいに向きあえば、その歩みはたとえ地道ではあっても、必ず実を結ぶとうことです。
これらのご法話の中で、会長先生は新しい年を迎えるにふさわしいご指導をくださいました。しかし、これは、単に新年を迎えるためばかりではなく、人としての大切な生き方が示されていると思います。
「心根(しんこん)は猿猴(おんこう)の如(ごと)くにして暫(しばら)くも停(とど)まる時あることなし」(仏説観普賢菩薩行法経)というお経の言葉があります。私たちの心は、まるで猿が木から木へ忙しく飛び回るように、一瞬の間も落ち着くことがなく、あちこちへ飛び回っているという意味です。今、この文書を読んでいるあなたの心も、すでにここにはなく、夕食のおかずのことを考えたり、仕事のことを考えたり、家族のことを考えたり、正月の過し方など、次から次へと飛び回っていることと思います。まさに、私たちの心は光の速度より速く、どんな遠くにでも瞬間的に移動することができるのです。
そのために、過ぎ去った過去を思い出しては後悔したり、まだ来ない未来を思い悩んで不安を感じたり、それがストレスの大きな原因にもなっています。昨今、精神的に不安定になる人が増えていると言われますが、会長先生のご法話は、そうした現代社会への警鐘とも感じられます。
目の前のことを、ていねいに、心をこめて取り組んでいく。こうした地道に淡々と生きることが、現代人が抱えているストレスや不安をやわらげる道であるとも考えられます。仕事をするときも、料理をつくるときも、掃除をするときも、お役をするときも、今、目の前にあることに心をこめて淡々となしていく。忙しく余裕がないときほど、このような生き方が大切です。
後半では、「切実な志」がなければ長つづきしない」。また、「志に随っていま目の前にあることの一つ一つにていねいに向きあえば、その歩みはたとえ地道であっても、必ず実を結ぶ」と説かれてあります。「たとえ地道であっても、必ず実を結ぶ」という言葉から大きな勇気がわいてくるように感じます。
私は、平成29年のテーマの一つを「本仏の願いをわが願いとする」、そして「本仏の遣いとして、そのお手伝いをさせていただく」にさせていただこうと考えています。たとえどんなに未熟でも、このような志をもって精進していくことを神仏にお誓いします。皆さまにおかれましても、よき志をたて、一年を有意義に過ごしてください。一年間の皆さまのご健勝、ご活躍、ご繁栄、ご多幸、ご精進を心よりお祈りしています。
合 掌
平成29年1月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則