“仏教は、平和で楽な生き方のススメ!” 教会長 近藤雅則(平成30年8月)

 『佼成』8月号の会長法話は、「敬う心と恥じる心」がテーマ。
 今月は「八正道(はっしょうどう)」の中の「正行(しょうぎょう)」について教えられています。正行は、正しい身の行いということで、不殺生(ふせっしょう)・不偸盗(ふちゅうとう)・不邪淫(ふじゃいん)という「身の三悪」を犯さないことです。

 不殺生とは、ものの“いのち”を意味なく奪わないこと。
 私たちは生きるために他の“いのち”を頂かなければなりません。他の“いのち”の犠牲の上に私たちの“いのち”があるわけですから、有意義な生き方をしなければなりません。そして、世のため人のために役立つことをしなければ、頂いた“いのち”に申し訳が立たないのではないでしょうか。
 また、わが国では、冷蔵庫の中の食材を腐らせ、捨ててしまう量が膨大だと聞きます。これも立派な殺生と言えましょう。さらに、最大の殺生は戦争です。戦争は、人間ばかりでなく、あらゆる“いのち”を奪い、大量のものを破壊します。今月、本会では、「戦争犠牲者慰霊・平和祈願の式典」が本部・各教会で行われますが、この地球上から戦争をなくし、平和を維持するために、自分に何ができるかを考えてみましょう。

 不偸盗は、与えられていないものを取らないこと。
 実際に、他人のものを盗むことはないとしても、もし時間に遅れて、相手を待たせたとしたら、その人の時間を盗んでいると言えるかもしれません。また、働いた分以上に給料を得ることも盗みと言えないでしょうか?
 私たちは毎日酸素を吸って生きています。この酸素の代金を支払うと、1日7万円、1年間で2500万円、80年で20億円になるそうです。私たちは、それだけの酸素を自分のものと思い込んで吸っていますが、果たして自分のものと言えるでしょうか?そう考えると、ただただ感謝で、“おかげさま”としか言いようがないように感じます。

 不邪淫は、邪(よこしま)な男女関係を結ばないこと。
 近年、性の乱れが蔓延しています。ネットの影響もあり、性の乱れが低年齢化し、子供たちが被害にあうことも深刻です。不倫をしてもなんら恥じることもなく、自慢している人さえいる始末です。そうした性の乱れは、本能的欲望を抑えることができない人であり、精神的に未熟で、動物に近い人間が増えている証拠かもしれません。
 性の衝動は、性暴力や誘拐などの犯罪につながるケースもあります。また、一時的な快楽を追う結果、大切な家庭を破壊し、仕事や地位を失い、人生を台無しにする人も少なくありません。性本能を満たすために失うものはあまりに多く、損得から言っても割にあわない話なのです。

 仏教は、堅苦しい戒律があって、私たちを縛っているように感じるかもしれませんが、そうではありません。むしろ、こうした生き方をしていけば、家庭も社会も平和で楽に生きられるという「生き方のススメ」なのです。

合 掌

 平成30年8月1日

立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則

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