こころの彩時記1「おばあちゃんの言葉」

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 ある若い小学校の先生から聞いた話です。いつも内向的で、人前で話すことが苦手な小学5年生のA子ちゃんが、毎週1回の学級活動の時間に発表の順番がまわってきた。その学級活動の発表では、自分の夢や家のことなど、なんでもみんなの前で話していいことになっている。
 ところが、三日前、二日前と当日が迫ってくると、そのA子ちゃんがだんだんと暗い顔になってきた。A子ちゃんにその先生が声をかけてみると、べそをかきながら「みんなに何も話すことがない」と話してくれた。
 その先生が、先輩の先生に相談すると、
「生徒のみんなに日記を書かせているよね。A子ちゃんの日記を見れば、必ずヒントがあると思うよ」
 その先輩の先生の話では、日記をしっかりと書いてくる子どもは、必ずまっすぐに成長していけるのだという。その理由は、家で暖かな会話があるから、それを題材に日記を書ける。家庭での暖かい会話が、子どもにとって最も心の成長の糧になるという。
 早速、先生がA子ちゃんの日記を最初から読み返すと、おばあちゃんとの会話や一緒に出かけた話が出てくる。しかも、おばあちゃんと一緒に神社に出かけて、神さまを拝んできたこと、お小遣いからお賽銭を入れたり、「ご朱印」を頂いて嬉しかったことがたくさん書かれてあった。
 翌日、A子ちゃんに先生が声をかけた。
「A子ちゃん、おばあちゃんと神社によく行くんだね」
そう話した瞬間、A子ちゃんの表情がぱぁーと笑顔に変わり、話し出した。
「私、おばちゃんと神社に行くのが大好き。おばちゃんが神さま、ご先祖さま、お父さん、お母さんを大事にすると、幸せなお嫁さんになれるって」
 A子ちゃんの話を聞いたその先生は、
「A子ちゃん、その話をみんなにしようよ」
そう話すと、A子ちゃんとは眼を輝かせて大きく頷いた。
 学級活動の日、A子ちゃんは自分の宝物の「御朱印帳」をみんなに見せながら、おばあちゃんとの神社めぐりのことを喜んで話し、それから人前でもしっかりと話せる子に成長していったという。
 人を幸せにするものは何か?ということが、アメリカのハーバード大学の75年間にわたる調査・研究で明らかになった。
そのキーワード、「暖かな人間関係」ということである。
 私たちの家庭一つ一つに暖かな人間関係が築かれ、その家庭を構成する家族一人一人が、それぞれの職場や学校、コミュニティ、地域でまた暖かな人間関係を構築していく。そんな社会が実現したらと思うと、自然とワクワクしてくる。
 フランスの小説家であるスタンダールは、次の言葉をのこしている。

愛する人と共に過ごした数時間、数日もしくは数年を経験しない人は、幸福とはいかなるものであるかを知らない。

 

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