【こころの彩時記29 ⏰】この大転換の〈時〉に

 今月7月11日の夜、一通のメールが届きました。それは、仙台教会ホームページの「雲Photo」への写真投稿で、千葉県在住のヒロマサさんからでした。
 その投稿されたお写真とコメントを見て、私は驚き、感謝の思いでいっぱいになりました。
 今年2021年は、私たち立正佼成会会員の帰依の対象であり、日本にとどまらず世界の多くの人びとから崇敬され、慕われる日蓮聖人さまのご降誕800年であると、私自身が気づかせて頂くことができたのです。

 日蓮聖人は、貞応(じょうおう)元年(1222年)2月16日、現在の千葉県鴨川市の漁村でお生まれになりました。その時、現在の鴨川市小湊の港で鯛が一斉に飛び跳ね、蓮(ハス)の花が咲き乱れました。この奇瑞に鯛こそが日蓮聖人の化身であるとして、この海域は「鯛の浦」と名付けられ漁が禁じられました。
 ヒロマサさんの投稿されたお写真は、「今年は、日蓮聖人降誕800年」というタイトルのもと、まさに「鯛の浦」の風景でした。(本ホームページ「雲Photo」をご覧ください)

 私が学生時代、「法華経の行者」としての日蓮聖人の生き方に感動し、「我日本の柱とならん、我れ日本の眼目(がんもく)とならん、我れ日本の大船(たいせん)とならん」(『開目抄』)という烈々たるお言葉に心底憧れました。その日蓮聖人が流刑の身となりながらも、『開目抄』が書かれた佐渡島の根本寺塚原三昧堂に、なんとしても行かせて頂きたいと、貯金をはたいて各駅停車の夜行列車に揺られ新潟に行き、そしてフェリーで一人、塚原三昧堂に行かせて頂いた若き日のことが思い出されました。
 そんな熱意に燃えた私だったのに、今では今年が日蓮聖人ご降誕800年ということをすっかり忘れ、日蓮聖人のご遺徳を偲ぶこともなく、感謝の思いもなく、日々を過ごしていた自分に気づかせて頂きました。

 日蓮聖人がお生まれになり、また『法華経』の教えを広宣流布した鎌倉時代は、相次ぐ自然災害や争乱、さらには飢饉や流行り病が相次ぎ、また幕府と朝廷の権力争いが続く混乱の時代でした。
 そのような中、悩み、苦しむ多くの人々に直接手を差し伸べられ、個人はもとより社会、そして日本という国の全体が幸せになるように願い、行動した日蓮聖人は、来世ではなく今世での救いをめざし、お題目の唱題を通して”今を生かされ生きる”ことの大切さを説き、法華経の広宣流布にその生涯を捧げられました。

 “コロナとの戦い”、“with コロナ”、そして“after コロナ”。今、私たち人類はコロナと真剣に向き合う〈時〉に生きています。
 日蓮聖人は、そのご著書『撰時抄(せんじしょう)』の冒頭で、

(そ)れ仏法を学せん法(ほう)は、必ず先(ま)づ時(とき)をならうべし

というお言葉を遺してくださっています。仏法を学ぼうとするなら、まず〈時〉を知ることが必要であると教えてくださっているのです。
 人類はきっとこのコロナも克服し、乗り越えていくことでしょう。その過程の中で、人間の生き方や、社会の仕組みそのものが大きく変わる〈大転換の時〉を、今、迎えています。では、その〈大転換の時〉を私はどのように受けとめていけばいいのか?
 庭野日敬開祖は、次のように〈時〉についての言葉をくださいました。

 法華経の「時」とは「生命充実の人格的な時」であり、その努力の瞬間には、過去も未来も現在もひとつに含まれ、それは「久遠の生命」という一本の太い綱につながっている。(『躍進』より)

 この庭野開祖の言葉を嚙みしめたとき、私の心に光明がさし、希望と勇気が湧いてきました。
「どのような〈時〉を迎えても、久遠本仏を自らの心に確立し、人格完成の道をただひたすらに歩んでいく」
 それに尽きると。

合 掌
仙台教会ホームページ担当

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写真はイメージです

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