🌈西支部だより「あなたが一生の宝を教えてくれた観音さまでした」
- 2022/1/15
- 地域で創る
一昨年、支部の会員のAさんのお嫁さんがガンと宣告され、闘病生活を送っていました。同じ支部のAさんを思うと、何もしてあげられず、ただAさんの辛い思いをじっくりと聴かせて頂こうと思いつつ、しっかりと寄り添うことができませんでした。コロナ禍のなか、Aさんと二人でずっと『法華三部経』を読誦しての、ご当家の総供養をさせて頂いてきました。
やがて、Aさんのお嫁さんの容態も落ち着いてきて、退院の兆しもみられ、明るい希望見えてきた矢先、昨年、再入院となりました。
今を必死に、明るく、前向きに生きているお嫁さんを思ったとき、今、私にできることは何なのだろう!?
Aさんやお嫁さんが辛いとき、その辛さや心のうちを聴いてもらいたい時、いつでも、すぐに駆けつけられるよう、それまで勤めていた朝の仕事を辞め、『法華三部経』の書写行をさせて頂こうと決心しました。
朝、水行をとり、身を浄め、『法華三部経』の一偈一句を書き写させて頂くと、初めは、「どうかお嫁さんを助けてください!」という思いが強かったのですが、次第に、Aさん、お嫁さんの願いが叶いますように、どうぞ私が仏さまの願いに気づけますようにと願い、祈らせて頂きました。
そして、「ありがとう!」の感謝の心に変わっていきました。私がお嫁さんの痛み、辛さ、そしてその病気を私が受けます!という心にさえなられて頂いたのです。
書写行の用紙に一枚書くのに一時間。失敗しては、また書き直し、気持が集中してないと失敗してしまうのです。
夏の暑い日には、汗をふきながらさせて頂くと、開祖さまが大聖堂建立の際、83日間かけてご本尊さまのお身体に納める「体内経」(『法華三部経』全巻)の書写行をされたことを思わせて頂きました。
今まで、仏さま、開祖さまに祈られてきた私。そして、周囲の方々に祈り、念じて頂いてきた今までのことが想い出されました。
昨年の『佼成』6月号の会長先生の「観音さまを念ずる」のご法話の中で、観音さまと同じ心、仏さまと同じ心を持った、その大慈悲心を発揮する大事さをお教えて頂き、教会長さんからは「慈心」と「悲心」の中でも信仰者は特に「悲心」、悲しみに寄り添う心の大切さを教えて頂きました。
念じて祈る中で、ある時気づかせて頂いたことがありました。それは、Aさんのお嫁さんは、私の心の中にある仏さまと同じ心、観音さまと同じ心=「仏性」を引き出してくれた。まさに、お嫁さんが観音さまだったんだ!と気づかせて頂いたのでした。
「Aさんのお嫁さん、ありがとう」
自分の身体も辛いのにも関わらず、いつも周りを明るくし、人のことを思いやっていたお嫁さんでした。
Aさんのお嫁さんは、昨年の7月、34歳の若さで3歳になる息子さんを残して旅立たれました。
コロナ禍の中で、一時は退院のきざしも見えた時には一緒に喜び、ご供養も一緒にさせて頂き、辛い時には電話で心を聴かせて頂いてきた一年半。私はどれだけお二人に寄り添うことができただろうかと、ただただ祈ることしかできなかった、それしかできなかった私でした。
辛く、悲しいことではありましたが、教会長さんやサンガの皆さんが祈り、お慈悲をかけてくださったお陰さまで、Aさんは一歩を踏み出し、今、お孫さんと一緒に前向きに生きようと頑張っています。
有り難うございます。
合 掌
仙台教会西支部会員 Y.Y