今月のご法話は、「安心して生きるために」です。8月は「戦争犠牲者慰霊・平和祈願」の月であることに因んだ内容だと思います。特にロシアのウクライナ侵攻が長引く中、平和を願う気持ちは例年以上だと思います。
文中に “戦争や紛争は、つまり利己心から起こるものであります。差別心から起こるものであります。憎悪と嫉妬から起こるものであります。このような醜い心をおさえるか、あるいは薄れさせるかしないかぎり、人間世界から争いというものが消え去ることはない”(13頁7行)という開祖さまのお言葉があります。
利己心、差別心、憎悪、嫉妬、こうした醜い心は誰もが持っていると思います。夫婦喧嘩、親子喧嘩、兄弟喧嘩、職場や地域での衝突や言い争い、私たちは、これらを毎日のように経験しています。つまり、私たちみんなが戦争や紛争の元となる心をもっているということです。
こうした醜い心を解決しないかぎり争いはなくならないとありますが、ここに宗教の重大な役割があります。宗教心を育むことは、人間の醜い心を正し、世界から争いをなくすことです。布教は会員を増やすことだと理解している人がいれば、今日からその認識を変え、世界から争いをなくす尊い正業だと受けとめ、自信をもって取り組んでいただきたいと思います。
もう一つ、開祖さまは“私が現在、世界平和のために一身をなげうって働いているその理念の原点は、もちろん仏教に教えられた不殺生戒でありますけれども、やむにやまれぬ行動をとしてわたしを駆り立てる感情の原点は、あの日に体験した「もう戦争はごめんだ」という痛切な思いです”(37頁下1行)と述懐されています。
この中の“一身をなげうって”と“やむにやまれぬ行動”という言葉に強く心を揺り動かされました。私は平和のために一身をなげうち、やむにやまれぬ行動をどれだけしているだろうか?そんな自問がこみあげてきました。
7月29日、教会内で政治学習会を開催しました。小野寺五典元防衛大臣を招き、「わが国の防衛と安全保障」と題して講演をいただき、平和を守るにはどうしたらよいのかを皆さんと学び合いました。このような行動は、戦争をくい止めるためには小さな行動かもしれません。しかし、無力ではないと思います。戦争も平和も私たちの心と行動が生み出すのです。私たちはみな平和の創造者であると自覚しようではありませんか!
合 掌
2023年8月1日
立正佼成会仙台教会
教会長 近藤雅則