【こころの彩時記8】御本尊さまの声~復興親子団参より
- 2017/7/30
- 自分を創る
社会福祉を学ぶ大学4年の女子学生のYさんが、仙台教会「復興親子団参」に参加した。
数日前、Yさんは「教員採用試験」の一次試験に合格した。これで、たとえ二次試験で落ちたとしても、臨時採用として教師の道を歩んでいける。Yさんの父親、母親、兄といった家族は大喜び。大聖堂の御本尊さまに御礼を言わせて頂こうと、「復興親子団参」を家族全員で楽しみにしていた。
ところが、難関である一次試験に合格しても、Yさんはまったく浮かぬ顔をして、かえって悩みこんでしまっていた。
一次試験の合格後、自分の心をよく見つめた時、
(学校の教員ではなく、やはり社会福祉の道に進みたい。そのために社会福祉の学部に入って、勉強してきたはずだ)
という思いが日増しに大きく、強くなり、“教員採用試験に落ちればよかった”とまで思ってしまう自分に、(私が最初から受験していなければ、本当に先生になりたい他の誰か一人が合格してたのに・・・)と自分を責めてしまっていた。
思い悩んだ末、Yさんは両親に泣きながら相談した。
「私はやっぱり教員になりたくない。二次試験も受けたくない。児童福祉をしたい。だから受けなくてもいいよね!?」
すべてを娘に任せてきた両親は、その言葉に驚いた。しばらくの沈黙のあと、その娘の心の叫びに父親は次のように話し、母親も心からうなずいた。
「あなたの好きなようにしなさい。あなたの人生だから。そのかわり、どこまでも、どこまでも、お父さんとお母さんはお前の味方だからね」
Yさんは安心し、とても喜び、二次試験の受験を取りやめる決心をした。
ところが翌日、そのことを大学の教授に話すとなかなか理解してもらえない。
「学校の先生になってから、その上で先生をやめて社会福祉の道を進むことだってできるのよ。教師の道になぜ進まないの!?」
そんな教授の言葉に、Yさんはまた深く思い悩み、そんな状態での「復興親子団参」への参加であった。
Yさんは真剣に大聖堂でご供養をあげた。そのあと大聖堂の照明が落ち、聖壇上の御本尊さまだけが浮かび上り、ナレーションプログラムである「御本尊の願い」としてのメッセージが堂内に流れた。その御本尊さまの声に耳を傾けていたYさんは、「迷ってもいい。迷っているということは、頑張っていることなのです」という御本尊さまの言葉が稲光のように強く胸をうった。
「御本尊さま、私は悩んで、悩んで、悩んで、その上で自分で結論を出します。そして、そのあとのことはすべて御本尊さまにお任せします」
とYさんは祈念し、団参からの家路についた。
そして、家に着き玄関に入った時、Yさんの携帯電話にメールが届いた。そのメールは、大学の教授から。初めて教授からもらうメールに驚いたYさんが慌てて開いてみると、そこには次のように記されていた。
「この前は、私の考えだけを言ってしまってごめんなさい。あなたの心があとでよく分からせてもらいました。そう!逆をいえば社会福祉の道に進んでから、その後、学校の先生にもなれますものね。どうぞ、Yさんが自分で選んだ道を自信を持って進んでください。卒業まで共に頑張りましょう!!」
その教授からのメールに娘は感動し、またご本仏さまの大いなるはたらきに驚き、心から感謝できた。
「団参に参加してよかった。ご本仏さまが私の進む道を教えてくださった」
御本尊さまが示してくださった道を、Yさんは今、改めて、そして以前よりも力強く自らの道として歩み始めた。
迷いながら 間違いながら 歩いていく その姿が正しいんだ
BUMP OF CHICKEN
(日本の4人組ロックバンド)