🚢 第2回「大好きな街」人に出会い、見つけた私らしさ 💖 織笠有加里さん

第2回 使用写真 トップ

優しい微笑みが絶えない織笠有加里さん

 宮城県気仙沼市で、市全体の観光戦略を推進していくことを目的として設立された「一般社団法人 気仙沼地域戦略」の一員として、いつも明るく、笑顔で街の活性化に向けて仕事に打ちこむ織笠有加里さんの思い、情熱、そして活動についてご紹介するレポート。今回はその2回目、最終回です。
(インタビューアーは仙台教会婦人部長 安藤高子さん。インタビューは、政府あるいは地方自治体の「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」に則り、十分は配慮の上で行いました)

〇友加里さんにとって、辛かったこと、大変だったこと

安藤
 有加里さん、今回もどうぞよろしくお願いいたします。
 前回は、お仕事に就かれた経緯など教えていただきました。新たな世界に飛び込んだ有加里さんが、イキイキとお仕事されてらっしゃるお姿に、本当に素敵だなって感動しました。いつも笑顔が素敵な有加里さんですが、お仕事をされる中で、辛かったこと、大変だったことなどはありますか?

織笠
「私、毎日が楽しいです!!」って今、皆さんに言ってるんですけど、実はそんなに楽しい日々ばかりではなく、辛いときももちろんあります。
 気仙沼市の人口は6万人いるとはいえ、やはり関わる人が限られた街なのですよね。仕事で何かあっても、プライベートでお会いするかもしれないし、仕事でご迷惑をかけてしまったときなどは、なかなか気持ちの切り替えができないです。
 大きな街だったら、仕事とプライベートを分けてリフレッシュすることもできるのでしょうが、辛いこと、嫌なことがあったときに、いずれにしろ向き合わなければならない場面が多くあります。(逃げられない!)みたいな。
 でも、それが街の良さだという側面もあるので、いくつか自分の心を安める場所を作ろうと意識しています。観光の仕事を持ちながら、プライベートで銭湯を盛り上げる活動をしてみたり、いろいろなコミュニティで自分の居場所を作る努力をしています。
 そこで出会う方々は仕事で出会う方とはまた違う意味で刺激をくださいます。あとは、以前住んでいた唐桑半島で出会ったおばあちゃんのお宅は、私の最終の逃げ場ですね(笑)。

安藤
 自分自身を保つ上でも、本当にプライベートな空間や時間を取ることは大切なことなのですね。

織笠
 仕事とプライベートの距離感をとるというか、心から安心できる自分だけの場所を持っていると、(生きやすくなるなぁ)と実感しているので、そういう場所は大切にしていきたいって思っています。

第2回 使用写真2

漁船がならぶ気仙沼港

〇気仙沼ならではの喜び、感動とは?

安藤
 ご自分で心や身体を調えながらご努力されてらっしゃるのですね。それでは、反対に、今までこのお仕事をされてきた中で、嬉しかったこと、感動したこと、忘れられないことなどはありますか?

織笠
 それはたくさんあります!!それこそ、気仙沼にいらした方に地元の人を紹介して、すごく盛り上がったり、意気投合されたりしているお姿を見るのは、毎回、感動しています。
 気仙沼には漁船の出漁に際し、安全な航海と大漁を願って岸壁から見送る、《出船送り》というのがあります。
 遠洋漁業に出られて、長いときには一年以上も会うことのできないお父さんやご主人さん、恋人といった漁師さんを見送りにいらしてるご家族の、とにかく航海の無事と再開を祈って旗をふる姿には、毎回、じーんときて涙が自然と溢れ出てきます。「じーじー!!」と小さなお孫さんが手を振る姿にも、涙が止まりません。
 また、最近感動したことは、前回お話しした老舗酒造会社さんとレストランとの共同企画としての「体験プログラム“ペアリングディナー”」を提案したときのことです。
 その「体験プログラム“ペアリングディナー”」に参加される観光で来られた方の喜び、楽しさと共に、その企画を実施する事業者さんの利益も大切にしていますので、「赤字になりませんか?」、「ご負担は大丈夫ですか?」と事業者さんのことが心配になったりします。この企画の場合は、老舗酒造会社さんとレストランさんが対象の事業者さんになります。
 そんな中で、老舗酒造会社さんのやがてはその会社を継ぐであろう若い専務さんにその思いを伝えた上で、体験プログラムの新規開発を提案させて頂きました。
 すると老舗酒造の専務さんが、
「大丈夫ですよ。街全体で『食』を楽しむ。素晴らしいことです。僕もそう思っています」
と力強く言ってくださいました。そして、
「うち酒蔵の商品だけが売れる、売れないではなく、気仙沼にある酒造会社が新たなチャレンジしたことで、街全体の取り組みへと広がり、少しでも気仙沼の活性化に繋がれば、こんな素晴らしい企業としての地域貢献はありません」
とおっしゃってくださいました。
 この専務さんのお言葉は、私の胸に強く、深く響きました。これからの老舗酒造会社を担う、次期社長になるであろう方の、
《社員が一丸と自社で頑張るという企業努力はもちろん大切だけれども、街全体、市民全体、みんなで協力し合いながら気仙沼を盛り上げていきたい!》
という理念とその実践に私は感動しました。
 一般的には、“自分(たち)だけが良ければいい”という感覚、あるいは社会的な風潮も聞かれ中にあっての専務さんの言葉に、私はたいへん勉強させてもらいました。
 気仙沼は陸の孤島というか、その土地柄もあるのかもしれませんが、港に漁のために立ち寄る外からの漁師さんや、観光でお見えになる外からの人々を、昔からみんなで迎え入れてきた街なので、外からの人にたいする“歓迎する心”とか、“おもてなしの心”とか、とにかく〈人(ひと)〉を大切にする感覚が強い街だと感じています。
 このことは、老舗酒造会社の専務さんだけではなく、自会社大小や利益を超えて街全体のことを考えておられる社長さんも実に多いところに、いつも感動しています。

安藤
 同じ働くということでも、自らの思い、志一つで、生き方が全然違うものになりますね。全然違った景色が見えてくるのですね。周りにいらっしゃる方々の魅力を見出せて感動し、行動されている有加里さんがとても素敵だなと感じました。

織笠
 いえいえ、魅力的な方々に恵まれて、自分が育ててもらっている。自分はなんて幸せなのだろうって思っています。

第2回 使用写真5

〇「私の街“気仙沼”」の魅力

安藤
 ずばり、気仙沼の魅力はどこにありますか?

織笠
 気仙沼は現在、観光スポットも整備されてきて、若い人が心惹かれそうなお洒落なレストランやカフェといった場所もたくさんあります。また、シニアクラスの方々にもゆっくりとくつろいでもらえる旅館、ホテルといった所もたくさんあります。
 もちろん、漁獲量日本一のメカジキなどといった、とびきり美味しい海の幸や山の幸も溢れるほどあります。
 そのような中、ちょっと抽象的になるかもしれませんが、今お話しさせていただいたように、私は気仙沼で暮らす人が大好きなんです。それが、気仙沼の魅力の一番だと思っています。
 私が日頃接している気仙沼で生まれ、育ってこられた人たちはもちろんのこと、お仕事の関係で来られた人たち、気仙沼のことを思い他から移り住んできた仲間たち。震災からの復旧、復興に始まり、“街おこし”、そして“街のさらなる活性化”へと、未来に向かっての街のあり方を明るく前向きに語ってくださる方が、とっても多くて、そういうところが尊敬できますし、気仙沼の大きな魅力だと私は思っています。

安藤
そういう方たちがいらっしゃるから、街も元気になっていくのですね。

織笠
 なので、観光やビジネスで気仙沼にいらした方々に、(どういう場所にお連れするか?)と考えるより、まず、(どういう人に会って頂くか?)と考えるようになりました。(この方には、気仙沼のこの人と馬が合いそう!)など、物や場所にフォーカスをあてるのではなく、まず《人物》にフォーカスをあてて街を見られるようになりました。

安藤
 それは、凄い視点ですね。街の魅力とは、その街に住む人、街をつくっている人の魅力なんですね。気仙沼に単身来られて、わずか4年でそんな素敵な視点を持つことができたのですね。

織笠
『街の魅力は人の魅力』というのは、たぶん私よりも以前から街の活性化に向けて努力されている大先輩方の姿、行動から気づかせてもらったと思います。
 そういった先輩方は人と人との“繋がり”をとても大切にされていて、その中で商いをされたり、仕事をしたり、暮らしてらっしゃる姿を私自身が見せて頂いてからだと感じています。

第2回 使用写真4

気仙沼遠景

〇私の夢、それは“気仙沼の良さを伝えていくこと”

安藤
 有加里さんが所属していらっしゃる「気仙沼地域戦略」は、一般社団法人ですけれど、“観光を中心にして、この気仙沼をみんなのための素晴らしい街にしていこう”という目的で発足されたのですか?

織笠
 震災後に、観光をどうにかしなければという、気仙沼市全体の取り組みがありました。
 震災以前の気仙沼は、観光もありましたが、どちらかと言えば水産業一本やりでずっとやってきました。しかし、年年歳歳、漁師の担い手、後継者が減少し、水産業そのものの再考が言われていました。そのような時に震災が起きて、水産業そのものが壊滅的になってしまいました。
 そこで、基幹となる水産業の復旧には時間がかかるので、まず観光に力を入れようということになりました。震災以前よりもさらに強く水産業と観光を融合、一つにさせて、気仙沼市ならではの観光を官民一緒に力を合わせて作っていこうということを、市長さんや私が所属する現在の「気仙沼地域戦略」の理事長さんが提案されて社団法人としてスタートしました。
 私たちが今、展開している「クルーカード」や「体験プログラム」といった観光事業の施策や企画等も、最終的には市長さんをはじめ、さまざまな漁業や観光の組合、地元企業や旅館・ホテルの代表の方々が参加される会議で検討され、決定していくという手順で進められています。
 気仙沼に来て感じるのは、「一般社団法人 気仙沼地域戦略」という組織で働いているのですが、その肩書きを皆さんそんなに気にしてないというか、ちゃんと「織笠有加里」として接してくださる方が多いなと感じています。
 もちろん、組織の方針や活動に沿ったお仕事ですが、一人の人間である「織笠友加里」として見てくださっているので、
「あなたがいないと成り立たないところがあるんだよ」
「私はあなたと話していますよ」
と言ってくださる方もいらして、(あぁ、自分が必要とされている!)という実感が心に湧いてきて、(本当に来させてもらってよかった。本当に良い街だな)って思います。

安藤
 より良いみんなのための街づくり。有加里さんのこれからの「夢」がありましたら教えてください。

織笠
 夢ですか?私の夢ですよね?
 確かに、やりたいことはたくさんあるのですが、これといって成し遂げたい!と思うものは正直まだ見つけられてはいません。
 でも、(気仙沼にはこれからも住み続けて、気仙沼の人たちとこの街で、ずっと仕事を続けていきたい)っていう希望はあるので、自分に与えられた役割というか、使命というか、この仕事を通して大好きな気仙沼そのものはもちろん、気仙沼の街に住む人、関わる人の魅力を、日本中の人たちに少しでも多く発信していきたいです。

第2回 使用写真1

気仙沼大島と本土をつなぐ「気仙沼大島大橋(鶴亀大橋)」(平成31年4月7日開通)

〇私が、今、こうしているのは

安藤
 有り難うございます。私自身、たいへん勉強になりました。
 現代社会では、「自分をどう表現したら良いのかわからない」と嘆いている若い方もいらっしゃるかと思います。今回のインタビューの最後に、友加里さんご自身のこれまでの体験を通して、そういう若い方にアドバイスというか、エールをいただけますか?

織笠
 アドバイスなど、私にはとてもできません。
 ただ、例えば「学校」、「会社」って場所はすごくわかりやすいと思っています。それは、特に友だち関係は自分の好きな人、気の合う人たちだけでかたまってしまうと思います。
 もちろん、学校ならそこで出会う先生、友だち、会社なら上司、同僚などといった方たちとの関係は素晴らしいと思います。
 でも、例えば、日頃接しない友だちとちょっと会話をしてみるとか、趣味やボランティアなどを通して、親や先生、上司、同僚以外の人と接してみてはいかがでしょうか?
 あるいは、例えば自分の知らない場所に旅行に出てみるとか、普段自分がとらない行動をしてみたりすると、自分の視野が広がったり、今見えてないものが見えてきたりして、(ふむふむ、なるほど、こういう生き方もあるのか)と自分の人生にとってのヒントがもらえるかもしれません。
 最初からまったく知らないコミュニティに飛び込むのはハードルが高かったりするので、少しずつチャレンジしていけたら良いのではないかなと思います。
 さまざまな人と接すると、発想も豊かになったり、自分の意見も表現できるじゃないかと感じています。そこで、いろいろな人との“繋がり”ができたら、どんどん自分の人生そのものが広がっていくと思っています。
 安藤さんはどう思われますか?

安藤
 やっぱり「人」、そして「繋がり」なんですね。人と出会って、繋がっていくからこそ、新たな自分を発見できたり、自分の中にあるものを引き出してもらったり、ないものを教えてもらったり。人との出会い・繋がりは大きいのですね。

織笠
 気仙沼に来なければ、きっと自分の人生の中で出会わなかった人たちばかりだと思います。
 私が気仙沼に来させて頂き、皆さん、私のことをよく褒めてくださいました。「よく来たね~!」って。本当に温かく包み込んでくださるような方が多かったです。
 ほどなくして、(私って、特に大人になってから、あまり褒められることってなかったな)と気づきました。
 褒めてくださる方が周りにいてくださると、自分が安心できます。そして、褒められた自分の良いところに気づき、そのような自分に自信が持て、そういう自分でこれからもいたいと強く思うようになりました。
 そして、やっとそんな自分を好きになれました。やっぱり、「人」とその「繋がり」なんですね。周りの皆さんのお陰で今の“私”がいると思っています。

安藤
 今、仙台教会では自分や家族、そして身近な人を、「認めて、褒めて、感謝する」実践をさせて頂いています。あらためて大事なことだと有加里さんから学ばせていただきました。
 本当に貴重なお話しをたくさん聞かせていただき有り難うございました。有加里さんのこれからの益々のご活躍を心から祈り、応援させていただきます。

〈了〉

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インタビューを終えて

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