【こころの彩時記30】🙏自らの帰依心を振り返るーみ旗の修繕を通してー

脇祖さま3 決定

庭野開祖によって勧請された「み旗」本尊(中央)

 このたび8月に行われた、仙台教会に奉安されている「み旗」の修繕を通して、自らの信心、三宝への帰依心を改めて確認させて頂きました。
 仙台教会発足(昭和36年)以来、日蓮聖人ゆかりの地への参拝、お会式「万灯行進」といった、私たち仙台教会の「法華経」広宣流布のご本尊として、あるいはまさに“旗印”として先頭に立ち、「み旗」は会員一人ひとりの信心の心の拠り所となってきました。

 ここで本会における最初の「み旗」の形式によるご本尊は、いつ、どのような経緯で勧請されたのでしょうか。
 昭和13年3月5日、庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖によって立正佼成会は創立され、三宝の一つである「僧宝」(=さんが)が形成されました。そして、その翌々年の昭和15年のことです。
 ここからは、『本尊観の確立のために』(庭野日敬著、佼成出版社刊)より抜粋してご紹介します。

 本会創立の翌々年、急に妙佼先生の眼が悪くなり、電灯の光も見えなくなって、医師からはもう何としても直らないと宣告されました。
 これには、よほど原因があるに違いないと思い、啓示(注1)をいただいたところ、
「本尊の眼を出していないではないか、気をつけさせるために眼を見えなくした」というご指導をいただきました。 
 さっそく恩師新井先生からご指導をいただき、本会としては、はじめての新しいご本尊の表現形態を制定したのであります。その時のご本尊の形式は、中央に「南無妙法蓮華経」その向って右側に「天壌無窮(てんじょうむきゅう)」左側に「異体同心(いたいどうしん)」と謹書したものでした。
 その意義は、法華経に示された真理を帰依の対象とし、その真理が時間的にも空間的にも永遠普遍(天壌無窮)であること、また異体同心をもって本会会員の修行の規範とすることを表示したものです。
 この新しいご本尊の表現形態を、み旗の形式をかりて勧請したのが、昭和十五年四月五日でありました。(『本尊観の確立のために』28頁より)

 ここに、真理=宇宙の大法と、その大法への帰依を表わす「南無妙法蓮華経」という題目を中心とした“法本尊”が本会において確立したのです。これは、庭野開祖の「法宝」への絶対的帰依の宣言であったともいえましょう。

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庭野開祖の謹書によるお題目

 では、なぜ急に妙佼脇祖の眼が見えなくなったのか?なぜ眼でなくてはいけなかったのか?私はそう疑問に思いました。
 仏教、特に真言密教では「仏眼仏母(ぶつげんぶつも)」という仏さまがいらっしゃいます。この宇宙の実相を観じる“眼”こそが、仏を産み出す“母”であるということで、その眼力を象徴した仏さまです。国立京都博物館のホームページに、次のような説明があります。

「仏眼(ぶつげん)」とは文字どおりホトケの眼を意味します。「仏母(ぶつも)」というのは、ホトケの母というのがもともとの意味ですが、ここでは「悟(さと)りの母体(ぼたい)」と考えていいでしょう。失敗は成功の母(英語のことわざ)といったりするように、本質を見きわめるホトケの眼の働きは、悟りの母体となるものなのです。(京都国立博物館ホームページより)

 まず“眼”を通して、真理=法を悟るということが分かります。
 根本仏教においては、例えば「八正道」ではまず「正見」(正しく見る)と出てきます。「十二因縁」の教えでも、最初に「無明」とあり、法に明るくないから、人間の本質が見えなくなっているとあります。
 大乗仏教においても、観世音菩薩の“観”は、まず衆生の姿を“見る”ことといえましょう。ゆえに、「慈眼視衆生(じげんししゅじょう)」という観世音菩薩のお徳が語られていると思います。
 そして、日蓮聖人は自らの「三大誓願」(注2)において、「我日本の眼目とならん」とお誓いしました。それは、自らが『法華経』の真理、法に基づく日本の眼(まなこ)となることをお誓いしたものといえます。
 まさに、「眼」とは真理、法そのものを見る“まなこ”であったのです。 

 そして、その5年後の昭和20年11月15日、庭野開祖の誕生日に〈久遠実成大恩教主釈迦牟尼世尊〉のご尊名をご尊牌(そんぱい 注3)に、庭野開祖自らが謹書した本仏釈尊の本尊が勧請され、ここに三宝の「仏宝」が本会に確立されました。 

〇昭和13年3月5日 立正佼成会創立(「僧宝」の確立)

〇昭和15年4月5日 「み旗」形式の本尊勧請(「法宝」の確立)

〇昭和20年11月15日 「ご尊牌」形式による本仏釈尊本尊の勧請(「仏宝」の確立) 

 この7年間の中で、庭野日敬開祖、長沼妙佼脇祖はどれほどのご苦労、いやどれほどの信心、三宝帰依のもと“「法華経」広宣流布”に挺身されたのでありましょうか。まさに〈命懸け〉のものであったと思います。 

 (よ)く諸(もろもろ)の勤(つと)め難(がた)きを勤(つと)めたまえるに帰依(きえ)したてまつる無量義経』徳行品より)
〈現代語訳:わたくしどもは、おん前にぬかずきまして、普通の人間ではとうてい堪えられぬような難行苦行をなさって、ついに最高の智慧を成就されましたそのご努力に、心から帰依申し上げるものでございます〉

 今月9月は10日に「脇祖さま報恩会」が行なわれ、来月10月は「開祖さま入寂会」の月を迎えます。
 この“ニュー方便時代”の今だからこそ、「三宝帰依」の信心に基づく自らの“本尊観”の確立こそ、両祖への大恩にわずかでもお報いさせて頂くことではないかと思わせて頂きました。

合 掌
仙台教会ホームページ担当
H.E 

(注1)人間の力では不可知の真理や神秘が、神などの超越者によって開示されること(『日本大百科全書』小学館刊より)
(注2)我日本の柱とならん 我日本の眼目とならん 我日本の大船とならん(日蓮聖人ご遺文『開目抄』より)
(注3)位牌を尊んでいう語(『日本国語大辞典』小学館より)

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