【こころの彩時記14】「十二支物語」
- 2019/1/1
- 自分を創る
十二の動物で構成される「十二支」。平成三十一年は、その十二番目に登場するイノシシの「亥年」にあたります。
もともとこの「十二支」は古代中国で発生したもので、ご存知のように「子(ネズミ)」「丑(ウシ)」「寅(トラ)」「卯(ウサギ)」「辰(タツ)」「巳(ヘビ)」「午(ウマ」「未(ヒツジ)」「申(サル)」「酉(トリ)」「戌(イヌ)」「亥(イノシシ)」と順番が決まっています。
今回は新年にあたり古くから伝承されている“十二支の順番が決まった物語”の一つをご紹介しましょう。
昔々の古代の中国で当時の最高の神さまが動物にちなんだ名前で年を数えること。そしてその年の順序は動物たちが、神さまが開く会合に到着した順に並べることを宣言しました。
動物たちは急いで会合に出席しようとしましたが、途中には大きな川があります。その動物たちの中で、猫とネズミは泳ぐことができません。そこで、彼らはある計画を思いつきます。それは牛の背中に乗せてもらえないかということです。牛は素直で性格も良かったので、二匹を乗せて川を渡りました。ところが、川を半分ほど渡ったところでネズミは猫が水を怖がっていることを知って、猫を川のなかに突き落としまいました。
そして、牛が対岸に到着するとネズミは飛び降りて全速力で走り、最初に到着しました。それで、ネズミは十二支の最初の年になりました。
続いて牛が到着して二番目の年になりました。
次に続くのはトラで、両手両脚で水を搔いて川を泳ぎきり三番目。トラのあとには、ウサギがぴょんぴょんと水面から顔を出している石の上を飛んで来ましたが、一本の丸太に飛び乗った瞬間、丸太が流されてしまいました。ところが、不思議なことに一陣の風が吹いてきて岸に辿りつくことができ、四番目になりました。
そして、龍が五番目に到着しました。神さまは力のある龍がなぜこんなに時間がかかったのか知りたく思い、
「どうして最初に飛んで来なかったのか?」
と尋ねました。
龍はこの世のすべての生物を助けるために、途中で雨を降らしたり、雨を止めさせたりしていたので遅れてしまったと神さまに言いました。さらに丸太に乗って流されるウサギを見つけ、無事にたどり着けるよう、風をひと吹きしたというのです。
すると彼方から馬が駆け足で会合に向かって来ました。まさに馬がまもなく到着という寸前、馬の脚に隠れていたヘビが突然現れました。馬は驚いて後ろに下がり、ヘビが六番目、馬は七番目に入りました。
次は羊と猿と鶏です。彼らは道中助け合いながら一緒にやって来ました。鶏は川に筏(いかだ)を見つけると羊と猿を一緒に乗せ、羊と猿は川面の草や葦を引っ張りながら、ついに筏を川岸につけました。神さまは彼らが力を合わせてきたことをとても喜び、羊を8番目、猿を9番目、鶏を十番目にしました。
十一番目の動物は犬です。動物たちの王国のなかで一番泳ぎがうまいと思われていましたが、ついつい水遊びをして時間を過ごしてしまっていたのです。
神さまはもう他の動物は来ないのかと思い、もう1日伸ばそうとした時でした。鳴き声がして到着したのがイノシシでした。この会合に来る間にお腹が空いたので食事をして満腹になった後、つい居眠りをしてしまっていたのです。居眠りから覚めて一目散に猛突進して辿り着き、イノシシは最後の十二支に滑り込みました。
可哀そうなことに猫は川に流されてしまい、結局、宮殿にたどり着けませんでした。それ以来、猫はネズミを見ると追いかけるようになったということです。
新年も明るく、楽しく、有り難く、佳いお年になりますように。